IKEAと大工

〈中学生の末っ子と一緒に、珍しくDIYに取り組んだ午後でした。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は日曜ですが、打合せなどの予定がなく、朝から家で志事をしていました。通勤の時間がもったいないのと、実は午後にはうちの末っ子からの頼まれごとがあったからなんです。

 

先日彼女の部屋の模様替えと部分リフォームの話を聞いたのでしたが、その後本人も色々と考えたらしく、結局大工さんにお願いするところと、IKEAの家具でまかなうところとを分ける、と聞きました。

 

で、「お父さん家具を組立てるの手伝ってえや」と。大工さんに全部やってもろたら寸法ぴったりやし統一感もあるで、と言いたいところをぐっと我慢。どうやら自分でつくってみたい、ということらしくて。

 

私自身はIKEAの家具をあまり好みませんが、でもこういう風に子供たちが「やってみたい」と思う気持ちは大事にしてあげたいし、DIYの作業を通してものづくりの難しさと面白さを知るのはとても良いこと。

 

家づくりの中でとても大事な部分である「家具づくり」というもの、その一端を自分の手を動かして感じとってくれることは、それを含んだ家づくりを生業にする者として、それはそれで嬉しいですから、ね。

 

ということで、今日の午後は次女と一緒にIKEA家具の組立作業と相成りました。抽斗が6つ付いたチェストと、両開き扉のクロゼット。夕方までに終わろう!と、冒頭の写真のように率先してやり始めました。

 

どちらも真っ白な家具で、「部屋に合わないなあ」と思いつつも、また我慢我慢(笑)。あまり要らぬことを言わず、サポートに徹する姿勢で。やり方を説明し、出来ることは自分でやり、楽しんでもらうことに。

 

しかし、IKEAの家具というのは、DIY前提のものとしてよく出来ていますね。その「文字のない」マニュアルもわかりやすいし、材料の接合部なども素人が無理なく作業できる方法を採用していて、やりやすい。

 

また、DIYで購入者がつくる、というのが大きなコストダウン要素にもなっています。家づくりをしているとよくわかりますが、こういう「ものづくり」のコストは、材料費よりも人件費が主ですから。

 

コストダウンで言えば、IKEAの家具は非常にコンパクトに梱包されていますね。これも輸送費をコストダウンする術で、IKEAのデザイナーは製品をどう「小さく」梱包するか、からデザインすると言います。

 

家具とはその大半が「空間」ですから、製品で輸送するのはいわば非常に「無駄」です。IKEAの家具が小さく梱包されていること、DIYで簡単に組み立てられることは、思想上セットになっていると言えるでしょう。

 

そういうことを、一緒に家具を組み立てながら感じていました。でもまあ、そこまでは中学生の末っ子にはまだ難しいかな、と思いつつ、「普通の人にも簡単につくれるように出来てるね」くらいの説明を。

 

5時間かけて家具が出来上がり、抽斗や扉を動かしてみて、本人はとてもご満悦です。まあ大部分は私が組みましたが、でも出来るところはやってもらいましたから、「自分でつくった」感触は得られたかな。

 

ちなみに、まだ大工さんに手を入れてもらう部分も、施工はしていません。彼女がIKEAの家具を使う、と聞いて、私の方は大工さんへの声掛けをちょっと待っていたんです。

 

それは、IKEAの家具ありきでまた寸法を把握する、という意味もありますが、それよりもむしろ、彼女が自分でやってみて、その後大工さんの志事を見ることで、その技術力の違いを感じてもらいたいから。

 

私はDIYを否定はしませんが、木の家づくりを通じて、そうした職人技の衰退、後継者不足の実態を目の当たりにしてきています。だからなおさら、自分の子供たちに「職人技」の凄さを実感してほしいんです。

 

それには、今回のIKEA家具の製作はちょうどよい機会でした。お父さんと一緒にあれだけ苦労したことと、大工さんのやること、次回彼女が見比べてみたら、きっと何かが伝わるはずですから。

 

それは、昔ながらの職人志事によって木の家をつくっている私が、己の志事を子供たちに伝えるということでもある。その意味で今日は、ちょっと親らしいことがしてやれたかな、と想ったりしているのです。


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