でしゃばらないで

〈間取りを考える時、一番小さい部屋の入り方には特に頭を使います。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

一泊二日の忘年会旅行から戻り、今日は事務所で木の家の間取りを考えていました。お客さまのご希望と敷地環境を織り込みながらスケッチを重ね、間取りを練る。家づくりの根幹、とても創造的な時間です。

 

間取りの中でよく遭遇する問題があって、今日もそのことでしばらく頭を使っていたものですから、ブログでも少しご紹介いたしましょう。以前も書いたかもしれませんが、それは「トイレの入口問題」です。

 

KJWORKSの木の家では、建具は基本、引戸です。建具についての名言に「ドアは閉まっているもの、引戸は開いているもの」というのがあって、「抜け」を重んじる日本家屋には向いていると思うからですね。

 

しかし、トイレという家の中で一番小さな部屋には、引戸が付けにくい場合がある。引戸には「引きしろ(引いていく先のスペース)」が必要ですから、1畳のトイレの短辺が入口の場合などは、付けにくい。

 

そうなると、ドア(開き戸)を付けることになるのですが、このドアがまた厄介なんです。小さなトイレの中に「内開き」だと、入ってから閉めにくい。といって「外開き」は、開く向こうが見えないのが怖い。

 

ドアが開く時に前を通っている人がいたら。あるいは、ドアを開いた先に別の部屋の入口があって、鉢合わせしたら。滅多にそんなことはないでしょうが、でもその可能性がある以上は、回避したいですよね。

 

どの家にも必ずトイレはあるので、間取りを考えるたびに、この入口問題はついてまわります。そして、引戸も難しいし、ドアも危ないから使いたくない時に登場するのが、今日の写真の建具なんです。

 

この写真はトイレの内側から撮ったもの。入口の建具が、途中でぱきっと折れていますね。大体幅の三分の一くらいのところに折れ点があり、レバーハンドルを引くと、ここで建具が折れ曲がって開きます。

 

この「折戸」の利点、わかりますでしょうか?そう、ドアのように開いた時に出っ張らないということ。内側にも少し、外側にも少しだけ出るかたちで開くので、スペースを無駄にせず、かつ危なくない。

 

取り付ける位置を少し奥まらせるだけで、この折戸のすぐ横に別の入口があっても、建具がぶつかるという危険を避けることができる。これは非常に便利で、トイレの入口問題をかなり解決してくれます。

 

今日も間取りで水廻りの位置関係にちょっと行き詰って、やはりこの折戸のお世話になることになったという次第。困ったときにはこれ、という策をもっていると、間取りをつくるときの選択肢が広がりますね。

 

私たち家のつくり手は、心地よい暮らしをお客さまにご提供するのが志事ですが、その心地よさの中には「危険でない、安全である」ということも非常に大きな、基本的なファクターです。

 

家の中で、建具とは「動くもの」。そこには時に危険が伴うということを、つくり手は忘れてはいけません。私が間取りを考える時も、そこを人が動いていることを想像しながら、その危険回避を常に考えます。

 

「動くもの」は、その動かし方を工夫することで、危険を避けて安全に使うことが出来る。そういう部分は家の中にいくつもあり、そのひとつひとつをイメージしてつくることの大切さを、この折戸は教えてくれているようです。


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