「らしさ」と時間

〈久しぶりにいただいた食べ物が、そのお店をつくった時のことを思い出させてくれました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日、午前中に用事があって、珍しくお昼前くらいにJR芦屋駅に着いたんです。お昼どうしようかな、と思っていたら、改札前にある「駅弁売場」に並んでいたあるものが目を引きました。

 

それは奈良の名物「柿の葉寿司」。阪神間の方には馴染みが薄いかもしれませんが、私は奈良に知り合いも多く、馴染みある味。鯖と酢飯を柿の葉で巻いたお寿司、私の大好物です。

 

普段朝夕に通るときには全く気づかなかった柿の葉寿司に、今日は目が釘付けになってしまって、買い求めて事務所へ帰りました。その後、今夜も出張須澤寿司の予定だと気付きましたが、時すでに遅し(笑)。

 

でも、握り寿司とは全く違うこうした「押し鮨」もいいものですよ。大阪では「ばってら」というものもあり、魚と飯を一緒に食べるという食文化の多様さを感じさせますね。

 

私がこの柿の葉寿司を好きなのは、慣れ親しんだ味というのもありますが、KJWORKSで柿の葉寿司のお店をつくった、ということも大きいのです。それは吉野山・金峯山寺前にある「やっこ」さん。

 

冒頭の写真はその内部。大正年間創業のこの店の、「吉野建て」と呼ばれるその店舗の内部をフルリフォームしてつくりあげたのが、このインテリアなんです。

 

飲食のコーナーと、土産の物販のコーナーがあります。こんな感じ。

 

店の外観は昔ながらの風情を残し、金峯山寺の参道前に佇んでいます。

 

いわゆる大手チェーンの柿の葉寿司よりも、ずっとこのお店ひとつでやってこられた「やっこ」の寿司はやはり格別です。今日は、久しく食べていないその味を思い出しながらいただきました。

 

歴史ある吉野山の名店のリフォームということで、同じ吉野の杉を多用して仕上げた店舗は、その「古色仕上げ」も伴って、とても落ち着ける風合いに仕上がっています。

 

先日はこのブログで、木の家づくりの延長線上にある施設建築の話をしましたが、この「やっこ」さんはその点で言えば、木の家の延長線上にある店舗づくりだとも言えるでしょう。

 

しかし、この歴史ある名店には、新築の真新しい白木のデザインはむしろ似合わない。その古民家を思わせるようなデザインだからこそ、その歩んできた歴史と釣り合いが取れるのだと思います。

 

新築と違ってリフォームの場合、その元の家の歴史というものが、おこなうべき改修に指針を示す、ということがある。それが店舗であれば、そのことは更に顕著に表れるでしょう。

 

「その店らしさ」ってなんだろう?ということを考え、そして時を経たその味わいからそのエッセンスのようなものを抽出できた時、その店舗改修はうまくいくのではないか。そんな気がしますね。

 

こうしたことは、新築にはないリフォームならではの面白さ。柿の葉寿司を味わいながら、老舗の大改修に少々怖気付きながらも一所懸命に取り組んだ、あの頃のことを思い出していたのでした。

 

皆さんも吉野山へお越しの際は、ぜひ金峯山寺前「やっこ」にお立ち寄りくださいませ。素晴らしく開けた眺望を楽しみつつ、雰囲気と味わい、2つの「時間がつくったもの」を感じて過ごせること請け合いです。


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