一歩だけ先に

〈またひとつ、お客さまと一緒に考えてつくったデッキが出来上がりました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

先週からおこなっていた木製デッキづくり、本日無事に竣工いたしました。先日「雨のち晴れ」という記事でもご紹介した、透明な屋根とデッキ、そして手摺と目隠しとを組み合わせた工事です。

 

今回のお宅は、KJWORKSが設計・施工した木の家ではありません。木の家の住まい手さんからこちらをご紹介いただき、ご提案を経て、今回のデッキ廻りをご依頼くださった志事です。

 

そういう部分的な志事の場合、お客さまは私たちがつくる木の家の「いつものやり方」をご存知ありませんし、事前にどこか見学されているわけでもない。そういう時は更に、こまめな打合せが欠かせませんね。

 

まずはもちろん図面での打合せをおこない、その内容で見積をご提示して工事スタートとなるのですが、木の家に馴染みのないお客さまはなおさら、出来上がるモノのイメージを掴みにくいものだと思います。

 

なので今回も、現場打合せを頻繁におこないながら工事を進めました。朝始める前には「今日はこういう内容で施工します」との説明をし、そしてその前に決めておかないと行けない細かい部分を打合せ。

 

そして、その出来たモノを見ながら、その次の工程をご説明し、「ここにこういう風に手摺がきます」とか「目隠しはこの高さでいいですか?」とか、次におこなうことの内容を決めていく、という感じでした。

 

夕方の現場では、「今日ここまで進みましたので、明日の工事までに、この部分をイメージしておいてくださいね」という話をよくしていました。夜の内に考えておいていただき、次の朝また打合せする。

 

そんな感じで、私がお客さまを少しずつリードする感じで、ひとつずつひとつずつ決めていきます。お客さまの方も徐々に出来上がってくるモノを見ながら次のステップをイメージするので、わかりやすいですね。

 

といっても、使う材料は最初に運び込まれています。デッキの唐松板などは信州から搬入されている。そうしたものを無駄にせず、また不足も出さず、なおかつ「手戻り」で職人さんに迷惑をかけないようにする。

 

それは正直、なかなか難しい。あらかじめ全部決まっていて、その通りに進んでいくことのほうが、職人さんとしては楽に決まっています。でも、それでお客さまの方に不満が残るようでは、何にもなりませんね。

 

今回はそこが私の役割と言うか、腕の見せどころでした。結果的には、デッキ全体の形も、手摺をつける位置も高さも、手摺のデザインも全部、図面とは違うかたちになって、でも材料は過不足なく出来ましたよ。

 

手摺のデザインなどは、手摺を取付ける前の日にデッキの床ができて、そこからお客さまによるデザイン案が出てきたんです。でもそれを、今ある材料を使ってちゃんと採り入れることが出来ました。

 

そういうことが上手くいくと私も嬉しいし、きっとそんな風につくられたものは、愛着をもって使ってくださるはずですよね。私が実現したいのはそこで、それがつくられたモノの寿命を左右すると思っています。

 

いつもいつもこうは出来ませんが、今回は私がお客さまの感覚の「一歩だけ先」に居て、そこからのご説明と話し合いをこまめにおこない、それと工事とを齟齬無く結びつけることが出来たと感じられました。

 

私たちモノのつくり手は、施主であるお客さまとの「理解の距離」がどれほどか常に意識していないといけない、そういつも思います。ついつい、その距離が離れがちになる。こちらは全部わかっていますから。

 

でもそうではなくて、これからつくられるものをイメージしやすいように手を尽くすことが私たちの本当の志事のはず。そう、その距離はお客さまのほんの一歩だけ先に居るようにすればいいんですね。


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