空き家を活かす法

〈年末のニュースで、国土交通省の住まい提供策を興味深く読みました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は私にはめずらしく、ニュースを元にした私なりの解説記事です。クリスマスの昨日、私が生業とする「家づくり」に関して、皆さんに知っていただきたいニュースを日経新聞に発見しましたので。

 

皆さんは、「住宅セーフティネット法」と呼ばれる法律をご存知でしょうか。正しくは「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」という長ったらしい名前の法律、平成19年の施行です。

 

長い名前の方で、なんとなくその内容が想像つきますが、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など、住環境確保という点において恵まれていない境遇の方々へのサポートを定めたもの。

 

そこには、公的賃貸住宅の供給促進、民間賃貸住宅への入居支援などが盛り込まれているのですが、このたび国土交通省は、そこに新たな改正を盛り込もうとしているようですね。

 

それは「空き家への入居促進」。収入面などで「住める場所がない」という方への支援と、もう一方の深刻な問題である「空き家の増加」とを上手く結びつけよう、という意図が感じられて、なかなか興味深い。

 

公営賃貸住宅は低家賃ですが、供給不足で倍率が全国平均5.8倍だとか。また、民間賃貸住宅は家賃面で充分な広さの家に住めなかったり、入居拒否なども起こり得る。どちらも不十分な状況のようです。

 

一方で、日本の空き家は今や800万戸を超える。そしてその半分強が賃貸住宅だそうです。現在でこれですから、人口の減少によって今後もっと増えるでしょう。要は「新しいのを建てている場合じゃない」ということなんですね。

 

そこで、空き家を使った住宅提供を法制化するというのが、今回の法改正の動きです。具体的には「空き家に入居する子育て世帯や高齢者に最大で月4万円を家賃補助する」という内容。

 

そして、入居する住宅の所有者には、最大100万円までの住宅改修費の補助が出ます。耐震改修、バリアフリー改修なども必要になってくるからでしょう。超過分も、住宅金融支援機構の融資を受けられるようにする、と。

 

ここで私が「いいね!」と思ったのが、この改修工事には「一軒家の間取りを変えてシェアハウスにする工事も認める」というところ。シェアハウスは徐々に増えつつあるし、これは時流に沿った策だと思います。

 

この新しい改正のポイントだと述べられているのは、そうした空き家、空き部屋を、地方自治体へ「登録」する制度。確かに、役所がサポートするのですから、まずは提供する情報を充実させないと、ですね。

 

自治体の福祉部局で入居希望者を把握し、住宅部局でのこの空き家登録との連携を強化し、入居支援の枠組みをつくる。また、入居後の見守りまでを支援するNPO法人への補助も視野にあるようです。

 

今日の冒頭の写真は、そうした「空き家」、中古住宅付きの土地を入手されたお客さまが、リフォームで実現された木の家です。たとえ賃貸住宅であっても、こうした改修を経て住環境を向上させることはできる。

 

建物とは、人が居ないとたちまち傷み、朽ちていくものです。私にはそれが可哀想で仕方ありません。家はやはり「人と共にある」ものであって、一人ぼっちはよくない。

 

その意味でこの国交省による策は、今後の行方はまだわかりませんが、大いに意義がある。公のサポートも得つつ空き家を上手に活用し、より多くの人が「自分の家」に暮らせることを、切に願うものです。


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