吹きさらしの技術

〈雨の降り続く日、自宅の車庫で改めて思っていたことがありました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は一日、雨でしたね。私は自宅にて、色々と調べものなどの作業を淡々とおこなう日でした。なので今日はまた少し、自宅ネタにてお目汚しをば。

 

冒頭の写真、自宅の車庫の様子です。3階建ての我が家、車庫の上に2階の部屋が載っかる形で、雨に濡れない車庫になっています。車庫と言っても天井は全て板張りで、なかなか雰囲気も悪くないでしょう?

 

ただ、雨は防げますがいわゆる「ガレージ」ではなく、吹きさらしです。道路に面したシャッターも、ステンレスのパイプシャッター。壁で囲ってしまうガレージより、この方が開放的で私の好みということで。

 

こういう、柱だけで支えられて壁のない吹きさらしの空間のことを、近代建築の用語では「ピロティ」と呼んだりしますね。これはフランス語で、ル・コルビュジエが提唱し、実践したものでした。

 

でも、開放的はいいとして、鉄骨やRCならともかく、木造3階建でこのようなピロティは、普通のつくり方ではかなり難しい。というのは、木造軸組工法の構造的な耐力は「壁」によって生み出されるからです。

 

建物が地震などで揺らされた時、それに対して踏ん張るのが「耐力壁」の役割です。この車庫には柱だけで耐力壁がなく、しかも上に家が載るので、その揺れに対抗する別の方法なしには建てられません。

 

そう、この家を設計している時、KJWORKSではそれを解決する方法をもっていたので、こうした建築を考えることが出来たのでした。それは耐力壁の代わりをする「門形フレーム」の存在でした。

 

ここでもう一度写真を。手前に3つ並んでいる柱が、普通の正方形断面ではないことがおわかりでしょうか。こうした長方形断面の集成材柱を両側に、その間に太い梁を2本渡したフレームをがっちりと組み、そのフレームの強度で耐力を確保しているんです。

 

このフレームを3つ並べ、その強度によって「ピロティ」を形づくっている、というわけですね。上下に2本使われている梁は、天井を低くすることで隠しました。下が土間である車庫だから出来る方法です。

 

そしてさらに、天井を下げたことでの利点もひとつ。写真に写っているパイプシャッターには、シャッターに付きものの「シャッターボックス」が見えません。はい、天井裏にすっきりと納めることが出来ました。

 

こういうことは、間取りの段階で既に想定、解決していないと実現は出来ません。自邸建築でこうした技術をうまく活用できたのはよかったし、その前後にも何件かこのフレームで構造の問題を解決しています。

 

13年前に既にあったこの門形フレーム、今はもっと技術が向上して、梁も一本で済むようです。例えば狭小地での建築で、車を建物の下に入れる必要がある時も、こうした技術で「木の家」は実現できますよ。

 

今日は雨の中、家族が出かけるのを見ていて、改めてこの構造とシャッターとの上手い解決を思っていたのでした。同様の事例に、またこうした方法による答えでお客さまに喜んでいただきたいな、と。

 

なお、蛇足ではありますが、雨の日にいつも思うのは、シャッターは電動の方が帰ってきた時に便利だなあ、ということ。これも考え方次第ですが、うちの家族にはむしろこっちを褒められている私です(笑)。


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