間取りのココロ 001〈場所と向き〉

〈新シリーズ初回は、建物の配置計画という最初の分岐点についてです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日からこのブログに新シリーズ「間取りのココロ」がスタート。間取り屋、間取りアドバイザーの志事をもっと知っていただく意味で、私がつくる間取りの考え方、方法論をご紹介してまいります。

 

間取りのココロというのは、その間取りに私が込めた想い、という意味もありますし、「これを実現するならこういう間取り、而してそのココロは!?」という、ちょっと謎解きみたいな楽しい文章になれば、と。

 

さて、第1回の今日は、間取りのさらに一歩手前、しかし間取りと大いに関係する大事なポイントである「配置計画」について。建築用語での「配置」とは即ち、敷地のどこにどのように建物を置くか、です。

 

どこにどのように、の意味は、今日のタイトル通り2つあります。ひとつは場所。真ん中か端っこか、どの境界線に寄せるか、ということ。駐車場や庭といった「余白」をどう確保するかと繋がる話ですね。

 

もうひとつは方向。その場所で家がどっちを向くか、ということです。家に顔があるわけではないので、その意味は「家の中に取り込みたいものの方向へメインの開口部を向ける」という感じでしょうか。

 

その2つを表す事例として、ある間取りの絵をご覧ください。南側道路の敷地に建つ木の家です。

家の場所と向きは、方位にも大きく関係します。この敷地はだいぶ大きいので、家はどのようにも配置できそうですね。敷地境界線に平行に、北側に寄せて建てれば、南側に大きく駐車場とお庭がとれそうです。

 

でも、ここではあえて家の向きを真南に近づけ、角度を振って配置してみました。そのことで、この家での暮らしに「良いこと」がたくさん生まれるということ、この絵でおわかりいただけますでしょうか?

 

角度を振ると、あちこちに台形や三角形の「余白」が生まれます。そして、家の中から見えるものも違ってくる。リビング・ダイニングは南の庭に近い、明るい場所にありますね。そして和室は落ち着いた雰囲気の北の庭に面している。

 

ここで和室を壁でなく建具で開閉可能なようにしておけば、LDKからも和室からも、どちらの庭も楽しめることになる。その開放感と広がり、そして抜けていく風は、とても気持ちよさそうですよね。

 

また、駐車場は玄関には近い場所ですが、LDKなど居室からは見えない位置。これは好みですが、常に車が目に入るよりもいいのでは。車の奥のスペースは、自転車置き場にするのがいいでしょう。

 

そして敷地の北東の「余白」は、洗面脱衣室から出られる専用の物干し場、そしてお庭のガーデニンググッズなどの「裏方スペース」。それが表の道路や庭から見えにくい場所になるというのもポイントです。

 

もちろん時と場合によりますが、場所と向きを検討する際には、このような「余白」の使い方も念頭に置きつつ、あまり敷地境界線にしばられずに自由な発想を楽しむことも、とても大切ですね。

 

さらに、今までたくさんの間取りをつくってきた経験から言いますと、時には部分的に、建物内部に直角以外の角度を入れ込むのも、それが敷地に合っていれば、空間に良い変化をもたらしてくれます。

 

今日の冒頭の写真は、そんな想いでつくった間取りの木の家。一部ナナメになった壁の大窓からは、庭の見え方も面白い。そして2階の同じ場所からは、この向きでしか見えない素敵な眺望が広がるのです。

 

この家の間取りを模式的に描くと、こんな感じ。冒頭の写真は矢印の方向を撮っていますよ。

 

「家がどっちを向くか」というのは、建物配置、そして間取りを決めていく手がかりとして、まず最初に考えるべき重要なポイント。日照や眺望、庭との一体感など、それは敷地によって全て違います。

 

でも、配置を決めてから間取りを決めるのではなく、その逆でもない。それは一緒に、同時並行で検討されてなければ形になりません。これがなかなか素人の方には難しいところなのでしょうね。

 

配置計画における「場所と向き」、実際には建築基準法、都市計画法などの法規制とも併せてにらめっこしながらの検討になります。この部分の入念な検討が、良い家になるかどうかの最初の分岐点だと、私は常々想っているんです。

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