魅せるか見せないか

〈駐車場に屋根を架ける時、それをどうつくるかは結構難しい選択です。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日は「間取りのココロ」として、建物に至るまでのアプローチの話を書きました。今日はそれにも関係する建物外部のスペースについて色々と検討していたので、そのことを書きたいと思います。

 

冒頭の写真、この木の家もとてもアプローチが長く、その部分の仕上げも含めてとても品のある玄関まわりのお宅になっています。そして今日あちこち物色していたのは、その向こう側に写っているモノ。

 

いわゆるカーポート屋根、というやつですね。これをどういうモノでつくるかも、敷地全体の道路からの外観に関わってくるので、大事なところです。しかしこの問題は、正直なかなか悩ましいのです。

 

この写真のカーポートは、いわゆるエクステリアメーカーさんによる既製品で、素材はアルミニウムの骨組みにポリカーボネート樹脂の屋根。車2台分なので両側に柱があり、屋根は緩い弧を描いています。

 

これはこれで立派な屋根なのですが、お客さまの中には「木の家なのだから、カーポートの屋根も木造でつくりたいな」というご希望の方もおられます。そうお考えになるのは、ごく自然なことですね。

 

実際に私たちも、木造フレームでカーポートの屋根をつくったことも何度もありますし、出来上がったモノは、やはり木の家との一体感が醸し出されて、とても雰囲気もいい。

 

しかし、かと言って私自身、常にそれがベストですね、とはちょっと言いにくいところ。なぜなら、木造フレームのカーポート屋根にも良い点ばかりではなく、向き不向きがあるからです。

 

例えば、車が横に2台並ぶ駐車場だと、その四隅に柱を立てて梁をつなぎ、屋根を架けてつくる木造フレームは、見た目も様になるし用途上も不都合はありません。では、1台分の駐車場の時はどうでしょう。

 

同じように車1台のスペースの四隅に柱を建てて梁をつないで、とつくっていくと、スペースに対してその構造材の寸法がちょっと太すぎてバランスが悪い。木構造では必要最低限の材料寸法がスペースと釣り合わない、私はそう感じます。

 

さらに、アルミフレームの既製品なら、車1台分の場合は「片持ち」になります。片側にしか柱がなくて、そこから持ち出して屋根を支えている。金属の強度を活かしたこの方法だと、車が駐めやすいんですね。

 

ところがこの「片持ち」が木造では非常につくりにくい。不可能ではありませんが、そうやろうとするとさらに部材が太くごつくなって、見た目が不格好になってしまいかねない。でも、それは本末転倒でしょう。

 

特に、いま私がお客さまからご相談を受けている駐車場は、道路に平行に横付けで車を駐めるスペースなので、これだと片側にしか柱がないタイプが圧倒的に有利、というか、そうでないと駐められません。

 

そんなことで、カーポートに屋根を架ける時は上記のような条件と、つくる木の家からその屋根がどう見えるか、ということも考え合わせて、お客さまと話し合って都度選択していくしかない、そう思います。

 

家との一体感で「魅せる」屋根にするのか、あるいは位置関係や高低差によって「見えない」屋根にするのか。また、時には部材の細いアルミフレームの方がすっきりと目立ちにくい、ということもあったり。

 

月並みな結論で申し訳ありませんが、やはり適材適所で選んでいく、ということなんですね。しかし、その「適所に適材をもってくる」ということの中にこそ、実は色んな要因を総合的に考えるプロの技がある。

 

カーポートの屋根に限らず、私たちつくり手は、家づくりの様々な場面において「選択の技術」を駆使できるプロフェッショナルでありたい。そう想うものです。


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