記憶の謎解き

〈ふとした糸口から、記憶の中の曲がかたちになって見えてきました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。今日は極私的ネタ、それも昔聴いたであろう音楽の話。でも自分には新鮮で楽しかったので、しばしご辛抱をお願いできれば。

 

私が特に考え事などせず街を歩いていたりする時、ふと頭に浮かんだり、鼻歌でメロディーを口ずさんでしまう曲があります。それはもう長い間そうなのですが、何という曲なのかは憶えていない。

 

その曲、最初のところだけは歌詞も記憶にあります。「♪ I was born in a house with the television always on (僕は、テレビがいつもついている家に生まれたんだ)♪」というんです。

 

そしてなぜかその曲の記憶には、映像もついています。すごくダボダボの、肩を怒らせたようなスーツを着た男が、歌いながらそのダボダボスーツの身体を揺すっている映像。きっとその曲の歌手なのでしょう。

 

きっと、昔にTVで視聴したことのある曲なんだろうと思うけれど、視ていた記憶は全くない。そもそもあまりロック(?)は聞かないし、調べようともしないまま、時々頭に浮かんでは冒頭を口ずさんでみたり。

 

ところが今日、急にその先の歌詞が一箇所、忘却の彼方から頭のなかに蘇ってきたんです。「Love for sale, Love for sale」と。思わず道で「あっ」と声が出ました。もしかしたら、これがタイトルか!?

 

今までずっと放っておいたくせに、そうなると気になって仕方がありません。早速ググってみますと、出てきた出てきた。トーキング・ヘッズでした。そしてやはりタイトルは『Love For Sale』でした。

 

そしてその曲が含まれるアルバム『True Stories』が、Amazonのプライムミュージックにあることも判明。一曲目が『Love For Sale』。ドキドキしながら聴き始め、聴き終わって今度は唸ってしまったのでした。

 

そのアルバムの曲全てに、聴いた記憶があるんです。なんだか「懐かしいなあ」という感慨すらある。でも、肝心の私とそのアルバムとの接点が思い出せない。なんでこの全部の曲を知っているんだろう。

 

ますます不思議になって、今度はダボダボスーツの方を調べてみました。バンド名がわかっているので、今度はこちらも辿り着けました。それが冒頭の写真。デヴィッド・バーンのステージ衣装なんですね。

 

これはデヴィッド・バーンによる映画『Stop Making Sense(意味があることをやめろ)』で使われたものだそうです。時は1984年。私が17歳の時。そして上記のアルバム『True Stories』は1986年のリリース。

 

同じトーキング・ヘッズの作品でも、タイムラグがある筈の2つがどうして私の記憶の中ではひとつになっているのか。しばらく調べてみましたが、その答えは結局見つかりませんでした。

 

そして、そもそも何故私がこのアルバムを丸々憶えているのか、それが全くわかりません。でも、この『True Stories』の曲たち、いま聴いてもなかなか個性的で面白い。今も聴きながらこれを書いています。

 

この曲の記憶とは全く別に、奇才と呼ばれたデヴィッド・バーンという人物のことは気になっていました。「ラスト・エンペラー」の映画音楽も坂本龍一との共作でしたね。でも、記憶の断片とこうつながるとは。

 

さほどに人の記憶とは、あてにならない不確かなもの。しかしその中から、何かの弾みで普段は意識下にある断片が水面に浮かび上がり、そこから芋づる式に記憶がドドッと蘇ってくることもある。

 

今日はだいぶスッキリしたものの、まだ謎は残ります。でも、おそらく30年ぶりにトーキング・ヘッズを味わう私にとって、それは何か意味のあることなのだろう。そう思って純粋に愉しむことにいたしましょう。


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