子どもたちの場面

〈保育園計画、プロ向けの建築資料よりも、こんな楽しい本からの方が多く学べる気がします。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は自宅にて少しのんびりと志事しております。しばらく主夫生活と両方なので、通勤の往復時間も馬鹿にならないし、日中は家の中で一人ですから、あまり事務所と作業環境的には大差ないし。

 

年明けから動き始めた「木の保育園」の計画、役所廻りで色々と聞いてきた法規や条例の関係を整理し、それに沿ったプランにすることも大事ですが、一方で「こういう園をつくりたい」ということの学びも大切。

 

今日はちょっと時間もあるので、そちらの方面を色々と夢想するために、取り寄せておいた資料を読み込んでいるのでした。冒頭の写真がそれ、クレヨンハウス「クーヨンBOOKS」の2冊です。

 

ひとつはこのシリーズの第1号である『シュタイナーの子育て』。これは今回のお施主さまから教えていただいたもので、シュタイナー教育を採り入れたいなあ、というご希望をお聞きし、私も勉強するため。

 

もうひとつは、同シリーズ13号、昨年出たばかりで新しい『行きたい保育園 行かせたい幼稚園』です。2冊どちらも、月刊誌「クーヨン」からのムック本で、親御さん向けのものでしょうね。

 

KJWORKSでは、伊丹市に「森のほいくえん」をつくりました。でもこれはビル内の保育園ですので、建物から新築ははじめて。基本は木の家の延長でつくる、とはいっても、やはり違うところも多々あります。

 

そうした施設設計において勉強する時、一般的には「設計資料集成」みたいなプロ向けの本が用意されていますので、そういうものを熟読し、事例を参照していくのが普通かもしれません。

 

それも役に立つとは思いますが、でも、こうした親御さんに向けた「こんな素敵な園もある」という紹介のほうが、より「こうしたい」園のあり方がよくわかるのではないか、と思ってこの本を入手しました。

 

読み始めると、13号の冒頭にはこうあります。

※育児雑誌[月刊クーヨン]が理想としているのは、「その子らしさ」が受け入れられ、子どもが思い思いに過ごせる園。わたしたちの考える「のびのび園」です。各園がどんな取り組みをしているのか、一緒に見てみましょう。

 

これを見て、私の目論見は正しかったと思いました。これらの本の中には、どういう間取りの建物であるとか、建築上気をつけた点とかいった記述はありません。でもそれ以上に役立つ「場面」が溢れている。

 

遊びを通した発見、一日のリズムのあり方、自然な献立の食事、子どもの学びの可視化、などなど、活き活きと動き、笑い、泣く子どもたちのシーンを通して、どういう場所が楽しいのかが伝わってきます。

 

子どもというのはなんでも遊びにしてしまうし、どんなものからでもイメージを発展させることができる。つまるところ良き保育施設とは、そんな素敵なエネルギーを邪魔しないこと、に尽きるのかもしれません。

 

それは、どういう間取りがいいとか、高さはこれだけ必要、とかいう話ではなくて、どんな場面をそこにつくりたいか、なのでしょう。そして、そのために建築というハードと保育というソフトが協調できること。

 

今日はじっくりこれらの本を読み込んで、おかしな言い方かもしれませんが、あまりちゃんとつくらなくていいんだ、と思いました。色んな場面を許容できる、おおらかで「いい加減」な建物がいいな、と。

 

少なくとも、大きな木の家としてつくり、無垢の木の床と漆喰や自然素材の壁・天井の空間になりますから、子どもたちの五感にはやさしくその良さを伝えてくれるはず。それ以上、妙に凝らない建物で充分なんだな、と今日は実感できました。

 

とはいえ、言うは易し、行うは難し。ようやく見えてきた厳しい法規や条例関係とそのおおらかさをどのように摺り合わせて着地できるか、そこがこれからの腕の見せどころであります。


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