スケールを伝える

〈施設建築と住宅建築、そこに共通させたいものを伝えることは意外に難しいのでした。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日も「木の保育園」計画を検討する日。先日お客さまと打合せしたことを、またプランに反映する時間でした。今日の話は、その打合せの中でひとつ、お客さまに上手く伝えるのが難しいと感じたもののこと。

 

それは「家のスケール」ということ。今回の計画は、いつもの木の家の延長線上にある「木の保育園」なのですが、法規制の面では、2階以上に保育室をもつ保育園は「準耐火建築物」とする必要があるんです。

 

これを説明しだすとややこしいのですが、その中で「燃え代設計」というのがあります。木の柱や梁が火災時に燃えてしまって表面が炭化しても、内部に丈夫な部分が残るよう太めの寸法にしておく、というもの。

 

これを採用すると、準耐火建築物でも木造表しに出来るのですが、全てをそうすると柱も梁もかなり太くなってしまう。そこで私は「住宅のスケールではなくなってきますよね」という言葉を口にしたのでした。

 

でも、それはお客さまには伝わりにくかった様子。住宅のスケールってどういう意味?となって、その説明をしばらくするハメに。でも確かに「空間のスケール感」というのはかなり説明しにくいことですね。

 

「スケール」という言葉自体は、モノの大きさや規模という感じの意味です。でも、空間そのものの大きさということだけでなく、そこでの各々のパーツ同士のつりあい、ということも、そこには含まれている。

 

今日の冒頭の写真は、そんなお話をしていた時に、私がお客さまにお見せしていたもの。KJWORKS本社HPの「施工事例」からも見られますが、この心地よい吹抜けが、今回の保育園計画にもあるんですよ。

 

しかし、吹抜けもあまりに大きすぎると、それこそ住宅のスケールを超えてしまうし、それでは木の家の延長線上にある、家の雰囲気をもった保育園にはなりにくい。私にはそれは、とても大切なことなんですね。

 

スケールとかスケール感という言葉をそういう感覚を込めて使っていましたが、今回お客さまには「イメージ」という言葉に置き換えて話したほうが、掴みやすかったようです。「家のイメージじゃなくなる」と。

 

その、木の家のもつ感覚を維持したような施設、という意味を伝えるのは難しいと、今回初めて自分で意識しました。思えば確かに、そういう意味合いを伝える必要に迫られたことは、あまり無い気がします。

 

私たちつくり手は、自分がもつ感覚を素人であるお客さまにうまくご説明し、伝達することも大事な志事です。ちょっと今回は自分のスキル不足を感じてしまいましたが、最終的には意思の疎通ができて一安心。

 

いや、この歳になっても、まだまだ志事の中で学ぶことは無限にある。専門用語で凝り固まったようなプロにはなりたくない、そう常々思っている私としては、とても意義深い経験だったと思うのです。

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