間取りのココロ 003〈部屋に着くまで〉

〈玄関からの動線に工夫をすると、玄関はすっきり美しくなります。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

間取りのココロ、その第3回目にして、ようやく家の中へ入って行くことになりました。玄関ドアについても色々と言いたいことはありますが、それは「間取り」ではないので、今日は入ったところから。

 

冒頭の木の家の写真、とても素敵な玄関ですね。ドアを開けると、玄関ポーチと同じ御影石張りの土間仕上げ。ドアの横にはガラスが入って、目線が抜けることで外と中の一体感を高めているようです。

 

そのガラスの奥に見えているのが、このお宅の上り框(あがりがまち)。入って正面でなく、ここで一旦曲がる動きを取り入れるのも、内部への「引き」をつくる手法のひとつです。

 

でも、上り框とは別に、奥の方にもなんだか人が入っていけそうな空間がありますね。そこに姿見も取り付けられたりしています。ここには本当は「暖簾(のれん)」が付き、奥の部屋を見えにくくする仕様。

 

そしてこの奥の部屋は「シューズクローク」と呼ばれる場所。昔の言い方だと「内玄関」でしょうか。家族だけが使うプライベートな性格の、家の入口廻りに設ける収納のためのスペースをこう呼びますね。

 

ここで、全く同じではないのですが、この玄関まわりの間取りは、だいたいこんな感じです。

玄関ドアを開けて土間に入り、お客さまは朱色の方の動線を通って、家族の間(LDK)へと直接入ってくるようになっています。それに対して、家族は青い方の動線で、シューズクロークを通り抜けてくる。

 

そして、シューズクロークを抜けたところがトイレで、その向こうには手洗いがあります。家に帰ってきた時に「靴を脱いで棚に入れ、カバンやコートを掛け、入ってきて手を洗う」という動きに沿って。

 

ちなみに、お客さまの入ってくるところがリビング、家族の入ってくるところはキッチン寄りの場所になっています。これも、動線のパブリックとプライベートに対応しているというわけですね。

 

お客さまのご要望に応えてシューズクロークをつくることはよくありますが、出来ればこのように単なる収納部屋としてではなく、帰宅時の動線に沿って、その流れの中の一部として計画したいものです。

 

家によっては、このシューズクロークの続きとしてウォークインクロゼットが連続することもあります。その場合は「部屋着に着替える」という行為も、その動線上で併せておこなわれることになりますね。

 

表と裏、ハレとケ、パブリックとプライベート、言い方はさまざまですが、日常の家族動線と非日常の来客動線とを分けることで、玄関はすっきりと「人を招く」表情をもち得る、ということでしょう。

 

玄関というものに対する考え方も、本当に人それぞれだと思います。単なる「通過動線」のスペースでもあり、しかし家の入口という「顔」でもある。どちらに重きをおくかもまた、その家の個性となります。

 

しかし、ごちゃごちゃと乱雑な様相の玄関、というのは出来れば避けたいもの。シューズクロークという収納部屋は、そうした利便性に奉仕するものでもあり、玄関の「品」を保つためのものでもある。

 

あえて2WAYの動線を確保するのは、面積の浪費だという批判もあるかもしれません。しかし利便性と見映えを共に実現するのですから決して無駄ではなく、むしろ家の豊かさに奉仕している、というべきではないでしょうか。


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