ジャンルの伸び代

〈手頃に買える感じの「仕舞える椅子」は未だよい定番がない状況のようです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は椅子の写真ですね。実はこれ、KJWORKS阪神「木の空間」に以前からあるものですが、普段は仕舞っていて滅多に登場しません。今週久しぶりにこの椅子に座ったので、思うところを書いてみる気に。

 

普段は仕舞われている、と言うことからもわかるように、これは折りたたみ式の椅子です。でも、ビーチ材を使った無垢の木の椅子なんですよ。「faggio」という名前の、一応イタリア製のモノのようです。

 

「木の空間」には普通の椅子は7脚あり、そんなに人が来ることは滅多にありません。でも、中央の大テーブルには長辺に3、短辺に1、最大で8脚座れるので、その数は用意しておく意味で入手しました。

 

まあ、数が揃えばいいとは思うものの、不細工なのはいやだし、といって8番目の椅子にそうそう高価なものは必要ない。でもやっぱりパイプ椅子は無い、木の椅子がいい。そう思ってかなり探したものです。

 

折りたたみ式の木の椅子って、手頃で良いモノが本当に少ないんです。吉村順三他のデザインによる「たためる椅子」というようないわゆる名作はありますが、とても手頃に手に入る、とは言えません。

 

パイプ椅子の世界には「ニーチェア」というこれまたロングセラーの名作があって、これは入手しやすい価格です。でも用途が安楽椅子だから、ダイニングテーブルの周りに置いて使うものではない。

 

無印良品にも「折りたたみチェア」ありますね。これはリーズナブルだし、よく出来ていると思います。ただ、私の個人的な好みとしては、写真のfaggioの方がよかった。例えば、座面の微妙なカーブのあたりとか。

 

しかしこの製品にも、入手してみて今ひとつと感じたところもあります。ラッカー塗りの仕上がりがよくないとか、前脚をつなぐ横棒が2本だとちと「うるさい」とか。これは1本だと強度不足なのでしょうね。

 

要するに、定番がない。久しぶりに座って、今はもっとよいモノが出ているかと思って調べてもみたんですが、あまり状況は変わっていないようですね。画期的な新製品は見つけることができませんでした。

 

確かに、あまり需要がないジャンルなのかもしれません。でも、私も「木の空間」を講座などで使ってもらったりしますが、いわゆるレンタルスペースなどでは収納可能な折りたたみの木の椅子は便利ではないか。

 

でも、そういうスペースに未だ木の椅子の需要が多くないということは、スペース自体もいわゆるクロス張りタイルカーペット敷きの「会議室」的なところが多いのかなあなんて、ちょっと寂しく感じた次第。

 

人が集まる場所、そしてその使い方を変え得る空間。そうしたスペースにもっと「木の空間」が増えてくれば、こうした折りたたみ式の木の椅子というジャンルにもっと伸びる可能性が出てくるのでしょうね。

 

そうした伸び代のあるジャンルだと感じるものの、それが実現していないのは私たち木の空間をつくる者の怠慢であるのかもしれない。久しぶりにこの椅子に座って、ちょっと反省モードになった私でした。


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