歩みにあわせて

〈木の家の周り、お庭を歩く道の部分のリフォームご提案でした。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日は建築技術と伝統構法について書きましたが、志事の方では宝塚のお客さま宅へ造園の業者さんと一緒にお伺いしていました。築14年を迎えようとする木の家と、その住まい手さんのところです。

 

ただ、今回のご訪問のわけは、木の家そのものではありません。その外構、敷地に入る門扉から玄関ポーチに至るまで、そのアプローチについてのご相談をいただいたので、その検討結果のご提案なのでした。

 

冒頭の写真がそのアプローチ。奥にポーチへの階段が見えますね。ここにはとても素敵な和風のお庭があるんです。元々あった母屋の隣に建てた家で、母屋との間もこうした石敷きの野趣ある通路になっています。

 

ただ、雰囲気はとても良いのですが、年月につれて段々と土もけずれて量が減ってくるし、石も傾いたり高さに差が出来たりしてきている。写真右の方には、排水の配管も露出してきてしまっていますね。

 

母屋にお住まいのご両親にとっては特に、お歳を召されるごとにこの路面が非常に歩きにくくなっており、もう雰囲気を重んじている場合でなく、そろそろ路面のやり替えをしたいというご依頼だったのでした。

 

確かに石は苔むしてきているし、雨の後などは滑りやすいでしょう。石の間の溝も場合によっては危ない。そろそろアプローチ全体をつくり変える時期なのかもしれません。事故があっては大変ですから。

 

とはいえ、この素敵な雰囲気をそこなうような工事はしたくありませんし、お客さまもそれは望んでおられません。できれば元々埋まっている自然石を何らか再利用し、当初の面影を残した風情にしたい。

 

ということで今回は、写真に写っている自然石をアプローチ路面の両側に配し、土の地面との境界にして、石に挟まれた路面を同様の色合いの玉砂利を使った「洗い出し」でまとめては、という提案でした。

 

造園業者さんによる手書きスケッチと同様の事例の写真などでご説明し、大きくはご理解をいただけました。ただ実際にどのような形状になるかは、アプローチがくねくねと曲がっているので、図面化は難しい。

 

このあたりが建築とは違う、外構工事の面白さでもあり難しさでもあるところですね。縦横高さできっちりと決められていく建築物とは、また違ったセンスが求められる。設計についても、施工についても。

 

今回はその改修工事の意図である「歩きやすく危なくない路面に」ということと、大きくは上記のような施工法でいきましょう、ということがお客さまとの共通認識で、あとはつくりながらの微調整。

 

そういう外構ならではの面白さ、私もとても興味があります。特に今回は、建物を含めた敷地全体に、経てきた時間を考慮して手を加えるということでもあり、実際の「歩行」性能を改善するということでもある。

 

何というか、外構造園というものも、建物とは別のかたちで「歩みに合わせて」また命を新たな生命を吹き込むことがポイントだし、それによってまた人の暮らし改めてに寄り添い直すものなんだなあ、と。

 

ちょっと駄洒落のようなオチですが、造園屋さんと一緒にアプローチの長さを測ったり写真を撮ったりしながら、何だかそんな考えが頭に浮かんでいた私だったのでした。


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