傘にまもられて

〈この写真に安心を覚えるのは日本人ならではの感性なのかもしれません。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日、お客さまとこれからつくる建築の話をしていて、気づいたことがありました。そう言えば今までも何度かそう感じたことがあり、今日はそのことを。それは、家の姿の見え方についてのお話です。

 

その時、屋根の形状の話をしていたんですが、屋根の掛け方、かたちを決める時、建築のプロでないお客さまは、どうしてもその屋根を「上から見た」目線でその形状を判断しようとされるようですね。

 

こちらも3D画像をつくったり、模型をつくったりしながらお話をするものですから、どうしても「鳥瞰」で考えがちになってしまう。でも、実際に建物が出来た時に、そういう視点で見ることはきっと少ない筈。

 

建物というのは、人間よりも大きくて、その中に入って使うものです。ということは、その外観を見る時、屋根の上面は遠くからは見えても、近くに寄れば寄るほど見えなくなってしまうことの方が多いのでは。

 

だから上から見た屋根の形状などどうでもいい、ということではないんです。しかし、むしろその屋根ができた時に、下から見上げてどう見えるのか、ということをもっと意識すべきだと私は思うんですね。

 

ということで、今日の冒頭の写真はまさにそういう目線で家を見た一枚。いわゆる「軒裏」と呼ばれる部分ですね。地面に立って建物の姿を眺め、意識する時、この軒裏はかなり大きなウエイトを占めてきます。

 

KJWORKSがつくるのは、無垢の木を多用した「木の家」ですが、といって外観まで全て板張り、という家は少ないです。しかし、この軒裏が板張りになっているだけで、なにやら「木の家感」がそこに表れる。

 

家の「外観」というものにおいて、外壁の仕上げや開口部のとり方などと同様に、軒裏がどう見えているかということは、極端な言い方をすれば、その「品格」に関わってくるのでは、とすら感じられます。

 

昨今は軒が無い家、スクエアな家もハウスメーカーさんなどにはよくあって、あまり悪口は言いたくありませんが、雨のときなどは建物が可哀想になったりします。「ずぶ濡れ」という表現がぴったりな感じで。

 

ちょっと傘をさしていれば、服が濡れにくいのに。そして暑い夏には、それがそのまま日傘になるのに。そう比喩表現で思うのですが、そのまま例えて言うと軒裏の仕上げは、傘の裏地に凝るようなものですね。

 

家に帰ってきてその姿を見上げる時、その家を守る傘のような屋根が、美しい裏地で出迎えてくれる。私が家の外観における見上げる姿の話をよくするのは、そんな「傘」をもつ家をつくりたいからなのかも。

 

「傘」とは「守り」のシンボルでもあります。その下にいると、安心できるもの。屋根とは建築にとっての傘であり、外界から人を守ることの象徴である。ならば家の外観は、守られて安心する姿でありたい。

 

軒裏が美しい家とは、私にとってそういう意味なのでしょうね。実は今日は、文章を書き進みながら内容が徐々に変わってそれに思い至り、まるでセルフ・カウンセリングのよう。たまにはこんなのもいいですね。


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