音との付き合い

〈暮らしの中の「音の環境」は、月日を経て変わっていくこともあります。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

いま、ある木の家の住まい手さんから、家の一部を「防音仕様」にしてほしい、というご依頼を受けています。その方法を検討してお見積の作業をさせていただいているところで、これからご提案になります。

 

KJWORKSがつくる木の家は、「家族の間(LDK)」を中心として各室が配置されることが多く、吹抜けもよくつくりますので、いわば家全体がワンルーム感覚。家族の気配が感じられる家になっています。

 

そういう居室空間では、暮らしの音も基本的によく通りますね。そんな中で、夫婦や親子の間での「気遣い」の心が育つことも、人として大事なことだと私は思います。しかし全てがそれでは不具合もありそう。

 

家の中で、ここだけは音のプライバシーをきっちりと確保しておくという場所ももちろんあっていいし、そういうご希望もよくあります。例えば寝室、書斎など。要はそうしたメリハリが大事なのでしょうね。

 

「音楽室」のような本当の防音仕様の場合はそれ相応の特殊なつくり方もありますが、普通の暮らしの中で少し防音レベルを上げるというくらいであれば方法は色々とあり、今回もそうした改修になりそうです。

 

まず音が抜けるのは「部屋の間の開口部」。ドアや引戸ですね。特に引戸は隙間がないと動かないので、防音の意味では非常に弱い。引戸よりドアがよく、かつ閉める際にパッキンがあるとなおよろしい。

 

そして次に壁ですが、壁の内部に吸音材を充填すると、かなり効果があります。そうでない壁は内部が空洞で、いわば「太鼓」の状態になっていますから、この空隙をなくすと音の抜けはずいぶん軽減されます。

 

そういう用途の部材もあり、KJWORKSが断熱材に使うセルローズファイバーも吸音材として使えます。他にもロックウールなど色々あって、これらを壁だけでなく、併せて上記のドアにも充填したいところ。

 

そして、今日の冒頭の写真。この部屋は特に防音仕様でつくったわけではないのですが、この文章の内容によく合っているので使わせていただきました。これもまた別の、私どもでつくった素敵な木の家です。

 

部屋の防音性を考えるのに、そうしたドアなどの開口部、そして壁や天井の内部がまずは大事ですが、他にも間取りをつくる段階から工夫しておけることもあります。それがこの写真の部屋には備わっている。

 

ひとつは「クロゼット」です。隣室との間に押入やクロゼットを挟むと、位置が離れるのに加え、中の布団や洋服が吸音材の役目を少しはしてくれます。音のプライバシーを守る意味では好都合と言えるでしょう。

 

そしてもうひとつは「畳」。板の床よりだいぶクッション性があって、振動も伝わりにくい。上下階での音や振動音の問題もプライバシー確保には重要ですが、畳はかなり音問題における優れものなんですよ。

 

とはいえ、家を建てる時点でそうした音のプライバシー確保を想定して間取りを考え、各部の仕様を決めれば何も問題はないのですが、暮らしてからその変化の中でそうした必要性が出てくることもあり得ます。

 

実は今回のご依頼もそういうお話で、それはご主人の勤務形態が変わったことと、新しい家族が増えたこと。今までは何ともなかったことが、そうしたまだお若いご家庭では大きく変化することもよくある話。

 

なので、上に書いてきたような部屋の防音化でそのご要望にお応えするつもりです。建ててからでも出来て、なおかつ住みながらの工事であまりお客さまにご迷惑を掛けないような工法を選んでいきます。

 

こうした「住みながらの工事」では、その施工音自体もプライバシー侵害になり得る。音の問題は時に人の安らぎを乱すし、私たちつくり手には、その感じ方の「個人差」も理解できることが求められますね。


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