鉄板の木の家

〈木の家現場の足場が外れ、きりりとシャープな外観がお目見えです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。今日はちょっとマニアックな素材の話を。

 

このところブログには花や植物の話ばかり書いていますが、川西市での家づくり現場の方も着々と進んでおりますよ。今日はついに外部足場が解体されるというので、夕方にその雄姿を確認しに行ってきました。

 

冒頭の写真のように、今までは足場とネットに隠されてよくわからなかった建物の姿が、はじめてお目見え。そしてこの木の家は、私が今まで担当させていただいた中では、わりと珍しいタイプの外観です。

 

それがこの外壁。いつも屋根材に使われるガルバリウム鋼板が、外壁にも全面に使われているんです。ガルバリウムというのは鉄板にアルミと亜鉛の合金でメッキしたもので、非常に耐候性が高い素材なんですよ。

 

写真ではよくわからないかもしれませんが、その鋼板を加工して、縦にたくさんの「溝」が通るような形状の化粧板にしています。こうすることで薄い鉄板に強度が出るのと、壁に陰影が生まれる効果があります。

 

そして、この外壁は中の構造体にビス固定ですが、そのビスが外壁面に見えないようになっています。凹と凸とを組合せる部分で凹を留め付け、そこに凸を差し込むことで留め付けたビスが隠れる、という仕組み。

 

こういう風に次々にジョイントしてビスを見せず取付けていくタイプの金属化粧板のことを、業界の専門用語で「スパンドレル」と言いますね。そしてこのタイプの外壁を使うのは、私は久しぶりなのでした。

 

そのスパンドレルの色はお客さまのご希望で黒に近いグレー。その色合いと、その金属の質感、凹凸溝の縦ラインが相まって、モダンというか、シャープというか、くっきりと鮮やかでなかなかよろしい。

 

また、この黒い金属板と、そこに取り付く窓の木製面格子、あるいは木のバルコニー、そして木の軒裏などの木部の対比が、これまた美しいコントラストできりりと美しい。見ていて気持ちが良いのです。

 

私が思うに、この金属板の外壁は、この家のようにすっきりと四角い平面をもち、さほど広くないコンパクトな総二階の家に、最もよく似合うのではないか。単純な形にこそぴたりと嵌まる意匠ではないか、と。

 

それは、それだけこの凹凸が生む縦ラインが、鉄の素材感と共に強い存在感をもって迫ってくるからでしょう。素材感も強く、なおかつ間取りや建物の外形も複雑だと、ちょっと「しつこい」のでしょうね。

 

もちろんこれは私の意見です。でも私たちプロは、そうした「かたち・素材・色」の組合せについて自分の感性に基づいたルールをもっているべきだし、それはお客さまにご納得いただけるだけのものでないと。

 

この敷地で間取りを考えた時、「E-BOX」と呼ばれるコンパクトな家にはこの素材とこの色が合うと思いました。今日は足場が外れて、その効果を実際に出来上がった家のかたちで確認でき、ほっと一息です。

 

注文住宅とは、一軒一軒全て違った家であるということ。その都度敷地と間取りをすり合わせ、間取りと素材をすり合わせ、色をそこに加味して考える。これがつくり手の腕の見せ所であり、醍醐味だと思います。

 

そんな中で自分なりのルールも生まれるのでしょうし、今日のようにそれをジャッジする瞬間は、やはり格別のものですね。さあ、このきりりと黒い外壁の木の家、お引渡しまでラストスパートであります。


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