音と穴

〈細かい穴が空いたシナ合板を、防音壁の部屋にご提案しています。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は打合せ続きの慌ただしい日。午後から伊丹の「森のほいくえん」にて新しいスペースのリフォーム打合せをしていて、ふと自分の座ったソファの後ろの壁に気が付きました。あ、ここに使われている、と。

 

冒頭の写真がそのソファ後ろの壁です。これはいわゆる「有孔ボード」と言われるものの一種「有孔シナ合板」です。その孔の空いた意匠が面白いこともあって、保育園の間仕切壁に使われていたのでした。

 

私がこれに気付いたのは、ちょうど今お客さまにご提案している「防音壁」にこの有孔ボードを使うことになっていたからです。でもあまり事例のよい写真がなかったところへ、ここでちょうど良い施工事例が。

 

これはいいとばかりに写真を撮らせていただいて、それを使ってお客さまにご提案するつもりですが、ではなぜこの有孔ボードが採用されたのかと言えば、それはもちろん防音壁のために役立つからです。

 

有孔ボードの「孔」は、音をその中に導いて減衰させるという効果があります。今回普通の壁を防音壁にリフォームするにあたって、壁内部に充填する「吸音材」に加えてこの仕上材が選定されました。

 

元々の壁は白い紙のクロス。それを一旦剥がして壁内部に吸音材を充填します。そしてその上に施される仕上げは、あるいは元の通りでもいいのですが、しかしそこは、私からこの有孔シナ合板を提案した次第。

 

この有孔ボードを、現物を見ずにお客さまに簡単にイメージしてもらえるある言葉があります。それは「音楽室の壁」という言い回しで、それを口にすればたちまち誰もが「ああ、あれね」となる。面白いですね。

 

シナ合板に開けられたこの孔が、音を吸収し、減衰する。なおかつ壁体内の吸音材にも音は絡めとられる。そのダブルの効果で防音壁を構成しようという算段なのですね。それを、音楽室のあの壁でやろうと。

 

この有孔ボード、結構な値段がするものですが、しかし今までの真っ白な壁よりも、お客さまに響くものがあったようです。おそらくそれは、こういう感じのインテリアでしょう。

 

そう、有孔ボードはその穴を上手に利用し、どこでもフックをつけてモノを飾り付ける壁にすることが可能なんですね。部屋の中で一面だけ、こういう仕上げの壁でも面白い、そんな私の提案に乗ってくださいました。

 

穴が音を減衰し、かつ壁内に充填された吸音材が音を吸い取る。防音室は仕上を誤ると室内にキンキンと音が跳ね返りがちですが、このボードならその心配はいらず、インテリアとして楽しんでいただけます。

 

そんな有孔ボード、実はKJWORKS本社の事務室にも使われています。やはり白い壁とは何か少し違う、個性的な表情をそこにもっていて、それが今回ご提案のお客さまにも上手く受け入れられたのでしょう。

 

壁を防音仕様にすると言っても、単に吸音材を詰め込むだけでは芸がない。そこに吸音以上の効果を期待し、かつ今までとのイメチェンとなる新しい壁仕上げのご提案が出来たのが、私としては上手くいきました。

 

防音室、音楽室以外にも、この有孔ボードという素材は、その穴を使った色んな壁の利用法を含んでいるので、昨今では作業スペースなどにも多用されてきているようです。そのラフ感が喜ばれるのでしょう。

 

部屋はその用途や性能に応じて使う素材が変わり、それによってまた見た目も変わります。その変化がその性能を感じさせる表情になっているならば、きっと人はその新しい壁の顔に納得するはずですね。

 

孔の意味を見抜いた先人に感謝しつつ、防音仕様の部屋の一面だけがこの孔が連続する独特の表情になることにちょっとワクワク感を覚えながら、職人さん業者さんとの調整を進めていくことにいたしましょう。


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