風を侮るな

〈強い風が吹き上げる敷地で、予想以上のその影響に対処する作業でした。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は冒頭の写真のように、ある木の家で屋根の上に登っての作業がありました。冒頭の写真がその様子で、とても気持ちのよい青空に恵まれ、緑に囲まれたとてもよい場所に建っている木の家です。

 

自然豊かな高台に建っているこのお宅、眺望もとても素晴らしいのですが、それと引き換えにというか、同じことの表裏というか、非常に強い風が吹き上げてくる場所でもあります。今日はその関連の工事でした。

 

写真は、このお宅の暖房である薪ストーブの煙突です。自然豊かな環境の中に薪ストーブは非常によく似合って素敵ですね。しかし最近、その煙突から異音がするとご相談が。それも、強い風の日に起こると。

 

こういう環境ですから屋根の上に伸びる煙突もしっかり施工していた筈なのですが、ストーブを設置して7年、徐々に強風の影響を受けて、煙突のジョイント部分などに影響が出てきていたのでしょう。

 

なので今日は、再度しっかりと煙突を固定する意味で、写真のような「ステー」と呼ばれる突っ張り棒を改めて設置しました。この強化工事で煙突周りはさらに強固になり、もうこれで緩むことはなさそう。

 

しかし、屋根の上に出ている細長い煙突でもこれだけ風の影響を受けるのですから、もっと大きい面をもつ建築自体は、さらに強い風圧に晒されるはずですよね。そう、風対策は建築と不可分の関係にあるんです。

 

そもそも、建築の構造耐力を検討する際には、「耐震」という要素と共に「耐風圧」要素としての壁量を必ず計算で求めることが義務付けられています。台風などの異常事態に耐えうる構造とするために。

 

柱や梁による主要構造はそうした建築確認の条件として計算の要項が定められていますが、そこには登場せず、しかも大いに風の影響を受ける場所があります。それは日本の伝統建築には欠かせない「軒」です。

 

深い軒は季節によって日照を調整したり、雨から建物を守ったり、とても大切な役割をしているのですが、軒が大きく出れば出るだけ、強風による「吹き上げ」が屋根を引き剥がす力も大きくなってしまう。

 

建物が建っている地上に吹く風と、建物の最上部である屋根周りで吹く風とはその強さが違います。元々風の強い場所ならなおさらで、だからこそ今日の煙突も時間と共に不具合を起こしてしまったのでしょう。

 

この木の家の屋根でも軒は大きく出ていますが、煙突の不具合で改めてチェックしても、軒自体には異常はない。吹き上げに抵抗するための屋根構造に問題はないとわかったのは、不幸中の幸いでした。

 

ともかく、建物の上部へいくほど、かたちの検討において風を侮ることなかれ。普段よくわかっているつもりでも時として今日のようなことが起こり、そのたび改めて肝に銘じる、建築屋として必須の務めです。


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