土間にある炎

〈ストーブなどの「炎」と土間を好相性だと感じる心は、昔の暮らしぶりとつながっているようです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日、また新しい木の家の「間取り」をお客さまにご提案していました。毎回この時はやはり正直言ってドキドキしますが、ご要望と敷地の特徴をまとめあげた検討の足跡をご説明する、とても大切な時間です。

 

この間取りにも、薪ストーブがあります。そしてもうひとつ、お客さまから設置のご要望が出たのは「おくどさん」、つまり竈です。このふたつの「炎」をどう配置するかがポイントとなる、そんな間取りでした。

 

さらにそれとは別に「土足で入れる(ものづくり)作業場」というご要望もあって、土間という要素に抵抗はなさそう。そしてそれらの与件から私が構想したのは「土間と板間をともに楽しむ家」だったんです。

 

玄関の土間からそのまま続いて、薪ストーブの置場。そしてその隣にはおくどさんの場所。続いて進むと今度は作業場と、飼い猫ちゃんたちの部屋。というように、土間がずっと続いていく部分が片方にある。

 

そして土間を通って薪ストーブの前まで来ると、そこはもうダイニングテーブルの真ん前。テーブルに座る人と上り框に腰掛けている人が共に炎を愉しめる、そんな暮らしのシーンを思い描きながら考えました。

 

今日の冒頭の写真は、そのお宅ではなくて、つい最近までKJWORKS本社「くらしの杜」にあった薪ストーブのお店の店内風景です。今この場所には「ハートフル」というスイーツのお店が出来ていますね。

 

この店に2つ並んで展示されていたストーブは、土間の上に置かれていました。このタイルの仕上げとストーブ本体の雰囲気がとてもマッチしていますね。土間と薪ストーブも、なかなか相性が良いようです。

 

私たちがそう感じるのは、おそらく昔のおくどさん(竈)が土間に合ったことと無関係ではない、そう思います。火を使う場所は板の間ではなく土間にある、というのが日本家屋の伝統的な姿でしたから。

 

薪ストーブには扉があり、炎がそのまま床を傷めたりすることのない安全な機器です。しかしその炎のあり様が昔の土間と竈との関係や情景を彷彿とさせるが故に、ストーブと土間との好相性を感じるのでしょう。

 

ましてや今回の計画にはおくどさん自体も設置される予定であり、ストーブと竈とが連続する土間の中で共演することも充分にあり得る。写真の2台のストーブのように良きコンビネーションが生まれそうです。

 

その間取り自体をお見せすることがまだ出来ないので、文章がわかりにくいと思いますが、土間のエリアが広い家というのは、暮らしのスタイルにおいて大いに広がりがある。板の間では出来ないことが出来る。

 

その広がりがストーブとおくどさんという2つの炎によってさらに力を増し、板の間でのライフスタイルにも揺さぶりをかけてくるような空間。そんな愉しさを盛り込んだ間取りに出来たのではと自負しています。

 

おそらく、今までの経験から言って、つくっている自分が愉しめた間取りは、その愉しめたという感触がご説明する言葉の中に溶け込んでいます。それはきっとお客さまにも少しは伝わったことでしょう。

 

久しぶりに間取りとして登場した「土間に炎のある家」。これからどう肉付けされて計画が進んでいくか、その過程も引き続き愉しんでまいります。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です