読みのみなもと

〈食事の時の雑談から、おもわぬ日本語の面白さを子どもたちに伝えることができました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は「漢字の読み」についての話を書こうと思います。今週珍しく家族全員が一緒に晩ご飯を食べた時にあった出来事が面白く、かつ私には日本語教育について考えさせられる面もあったものですから。

 

中学2年生になった末っ子は、食事の時に学校であったことや今習っていること、宿題やテストなどの話をよくします。そうすると、元中学生だった人間が周りに4人いますので、それについて色んな意見が出る。

 

数学が難しいとなれば兄と姉が自分なりのアドバイスをしますし、国語がややこしいとなれば父と母も参戦していろいろ話をしたりしますね。で、今週は宿題の漢字がよくわからん、という話になりました。

 

その悩みの話からいつのまにか「漢字クイズ」みたいになって、そこで大学生の長女が紙に字を書いてこんな問題を出したんです。「面長」の読みは?と。彼女は本で知ったそうで、高校生と中学生はわからない。

 

なので、その読みについての意味合いを教えてあげるべく、私は答えを言う代わりに別の問題を出しました。じゃあ、「強面」はどう読みますか?そしたら今度は大学生もわかりません。むむ、これはいかん。

 

「おもなが」「こわもて」、答えを知っても中高生にはそう読む理由がわからない様子。私の目論見通りですので、ここで同じ字が「おも」と「もて」になる理由を説明しました。この字は「おもて」だよ、と。

 

「おもて」の「て」が省略されたり、「お」が省略されたりしている。省略される理由は、主に「語感」でしょう。そうやって日本人は熟語の読みを洗練させてきたのでしょうね。そういうことを話しました。

 

そして最後に応用のもう一問。訓読みで「水面」はどう読みますか?また同じ文字「面」がありますが、これも子どもたちは読めませんでした。音読みの熟語よりもこういう「和語」の方が難しいのでしょう。

 

これは「みなも」。「おもて」という読みがついに「も」だけになってしまったね。こういう風に言葉の言い方・読み方というのもどんどん変わっていくんやね、と説明すると、それには大いに感心した様子。

 

そこで逆に私は思いました。学校では漢字の読みのこういう教え方はしていないんだな、と。漢字を教え、音読みと訓読みを一緒に教えるだけで、その読みの起源や系譜、変化の歴史などには触れないんだな。

 

まあ、確かに自分自身もそういう習い方はしなかった気がします。でも「おもて」が「おも」や「もて」に省略され、ついには「も」だけになる。こういうことを字と一緒に習うのは楽しかろうと思うのですが。

 

どの科目でも同じだと思いますが、子どもたちに「面白がってもらえる」ことを、もっと教育関係者は考えるべきではないでしょうか。暗記一辺倒という方向では、上記のような愉しさは伝わりませんから。

 

私は日本語が好きですし、永く読んできた書物から素晴らしい言葉、言い回し、慣用句をたくさん教えてもらいました。暗記用ではない、生きた日本語を。できれば学校教育がこの視点ならもっと素晴らしい。

 

でも残念ながら学校がそうでないなら、家庭で少しでもそういう愉しさを伝えたい。自分の中にある生きた知識の中から、時に今回のような話を子どもたちに語りうるのもまた、親の喜びだと感じる次第です。


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