維持できぬ部品

〈大いなる過渡期とはいえ、ロングセラーが蔑ろにされている状況には疑問をおぼえます。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。今日はちょっと、業界への苦言をば。

 

今日は朝から、住まわれてからのプチリフォーム工事で、ある木の家にお伺いしていました。工事は大工さんの方で問題なく進めていきましたが、そこで新しくお客さまからお聞きしたことがあったんです。

 

それは、壁付けタイプの照明器具のガラスシェードを誤って割ってしまった、というお話。何かを持って移動していて、それが当たったとのこと。明かりは生きており、「シェードだけ替えられますか」と。

 

早速、新築時にその器具を納品してくれた代理店に連絡をとり、シェードの在庫があるかを尋ねました。幸いまだあったのですが、以前ならこんな確認をとらなくてよかったのに、とつい思ってしまいました。

 

というのは、以前にもこのブログに書いたかもしれませんが、今は急速に照明器具の光源がLEDオンリーになっているから。白熱灯も蛍光灯も、すでに器具メーカーのカタログから姿を消しているんですよ。

 

LEDというのは小さな粒粒の光源ですから、根本的に白熱灯・蛍光灯とは違っています。ということは即ち、それを元につくられる照明器具も今までとは形が違ってくる、ということに他なりません。

 

確かに光源が小さくなって、今までにない薄い、あるいは小さい器具が出てきていて、それは意味のあることだと思います。しかし、今日私がお聞きしたような「器具の一部を取替える」場合は非常に困る。

 

器具が光源の都合で一気に置き換わっていくことは、廃番が一気に増える、ということに等しい。ここを忘れてはいけません。そして廃番品のパーツ在庫は、廃番の数と反比例して数量が減っていきますよね。

 

しかし一方で、照明器具には「シェード」という、直接は光らない、光源を上手に遮って灯りを調整する大事なパーツがある。それらの在庫が底をつけば、照明器具自体を買い換えるしか方法はないんです。

 

そんなことでいいのか、と私は思います。今日私が問合せたブラケットのガラスシェードも、その代理店さんにあと数個という状況でした。あと数個なくなったら、器具を変えてくださいとお客さまに言うのか。

 

思えば白熱灯から蛍光灯への移行の際には、光源の大きさや接続法はあまり変わらなかったので、ロングセラーの器具たちは、その形を変えずに生き残ることができた。でもLEDへの移行は、もっと乱暴ですね。

 

冒頭の写真は、和紙をシェードにした吹抜け用の大きなペンダント(吊下げ照明)です。吹抜けに吊るために、メーカーへの特注で線を長くしています。これも、シェードが破けてしまったら器具ごと替えるの?

 

お上の意向か何か知りませんが、ものづくり企業として恥ずかしくないのかと思います。「永く使い続けられる」ことを前提として生産体制を組むべきでしょう。ファストフードと同じような真似をしてどうする。

 

世に「モデルチェンジ」という現象は多々あるし、チェンジしなければ売れない、という主張も存在するのはわかっているつもりです。しかし「家」に関わるモノまでもがそれとは、何ともやりきれません。

 

昨日の話に続いて、今日も愚痴っぽくなってしまい申し訳ありません。しかし「省エネ」の名のもとに、それ以外の要素が全て無視されているのが今の照明器具事情である、それが伝わっているなら幸いです。

 

「灯り」とはある意味、家の象徴、家庭の象徴として機能していると感じられます。そのシンボルを一気に革新することは、人間が何かを喪失することに繋がるかも。そんな気すらするのは、私だけでしょうか。


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