間取りのココロ 004〈孔のあけかた〉

〈間取りとは常に、部屋配置と開口部のとり方がセットで考えられるべきです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

間取りのココロ、久しぶりの投稿です。実は今日、13年前に家づくりについて書いた文章をPC内で発見しまして、その内容が今の考えとほとんど変わらないのが面白く、同様の話をここにも書く気になった次第。

 

その時に私が書いていたのは、大きくは「環境条件に合った建物であるべき」ということでした。そしてそのために、「とりこみたいもの・さえぎりたいもの」を敷地の周辺環境から読み取るべし、とも。

 

では、家の中に「とりこみたいもの・さえぎりたいもの」って何でしょうか?こう書くと抽象的でわかりにくいかもしれませんが、例えば音、光、雨、風といった自然界の因子たち。そして人やモノもそうですね。

 

以前もここに書いたことがありますが、それを上手に制御するという面において私の考えの根本を成しているのが、建築家・原広司が唱えた「有孔体の理論」です。取り込み、遮りを調整するのは「孔」である。

 

建築における「孔」とは、即ち出入口や窓ですね。「窓→間戸→間取り」という言い方をしてもおかしくないほどに、部屋の配置と併せてこうした「孔の開け方」が間取りの成否を決めると言っていいでしょう。

 

ただし、自然界の因子は、豊かな四季のある国・日本では、同じ要素が季節によって全く逆の作用を及ぼすという、非常にやっかいな面があります。また、同じ現象が色んな側面をもっているということもある。

 

例えば光(日照)というものにも、実は3つの側面があります。文字通りの光、すなわち採光という面、それから熱取得という面、そして少し視点は違いますが、眺望(光が入る=ものが見える)という面も。

 

窓という「孔」を開ける時、光がそこからどう入ってくるのか、熱はその時どう影響するのか、さらにその窓の向こうには見たいものがあるのか、ないのか。全部一緒に考えて、さらに風通しも考慮しないと。

 

私が間取りを考える時は、もう無意識に同時進行で検討していますが、あえて細かく書くと上記のようになる、というわけですね。敷地の方位と周辺環境が毎回違う以上、答えは必ず毎回違っていますから。

 

そこで今日の冒頭の写真。左の掃出し窓は東面にあってお庭に面しています。庭の緑を採り込み、かつ東ということで午前中が気持ちいいわけですから、そこにダイニングを配置し、美味しい朝ご飯を演出したい。

 

次に右奥の壁が、南面です。でもこちらにはお庭はなく、道路とそのお向かいの家が近接しています。明かりは採りたいけれど、あまり見たくはない景色。なので、人の目線の高さは全て壁になっていますね。

 

そしてその上は1.5階分くらいの吹抜けになっていて、上のはめ殺し窓で採光を、その下の小さな三連窓で通風を確保する手法。また、はめ殺しの上には軒がぐっと出て、夏の照りへの対処にもなっているんです。

 

この空間では、東に掃出し窓、南に「高窓」として採光と通風の窓、というセレクトが一番「とりこみ・さえぎり」に有効だったということですね。それが奏功してか、とても心地の良い空間に仕上がりました。

 

窓はいっぱい付けて明るく、では壁が少なくて家具を置くのに困りますし、南面には必ず掃出し窓、という考えでは、見たくないものを見ることになったり、夏に往生したりします。南の屋根の天窓などは特に。

 

でも、冬には陽の光、暖かさを採り込みたいし、春や秋には風を入れ、爽やかに暮らせる窓がいい。そして青い空が見える窓がいい。遠くへ抜ける眺望があるなら、それを切り取ってくれる窓がいい。

 

かように家への「孔のあけ方」は、まさに間取りのキモと言っていいし、それこそ実際の建物からのフィードバックを重ねた、その経験がものをいう技術である。私はそんな風に思っております。


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