図面に描けない技

〈家づくりの中で外構工事は、ものの考え方からしてだいぶ違っているのが面白いのです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます、木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は午前中、とても気持ちのいい青空でしたね。そんな中、木の家にお住まいのお客さまからのご依頼で、道路に面したお庭での外構工事があり、私も立会をしてまいりました。

 

元は子どもたちが遊べるようにと土のままにしておいた部分を、来客用の駐車場としても使えるようモルタル舗装する、という工事です。住む前に思っていたよりも、駐車場に使うことが多かった、とのこと。

 

冒頭の写真は、一番最初の工程の作業中の様子。駐車スペースに必要とされる強度を得るために、範囲を決めてコンクリートを打ちますが、その範囲で必要な厚みの分まで土を取り除いているところです。

 

周囲には玉砂利洗い出し仕上げの「飛び石」状の部分があり、汚水桝や水道メーターもある。後からの施工の場合、こういう「元々ある」ものとの意匠的な整合がとれるように寸法や仕上げを考えないと。

 

今回はあえて周りとは違うモルタルコテ押さえにしましたが、それは全部が玉砂利だとかえって変な感じになるのと、やはり既存の桝やメーターと上手く擦りつけて馴染ませることがしやすい仕上げだからです。

 

思うに、外構工事と建築工事の大きな違いとは、「水平面のあるなし」ではないでしょうか。建築工事では床が水平であることがあたり前で、傾いていると大問題になりますが、外構工事ではこれが逆になる。

 

「水勾配」と呼ばれる、雨を排水溝へと流していくための非常に緩やかな勾配がついているのが大前提で、水平な面をつくるというのは雨が溜まるよくない工事、ということになる。考えてみると面白いですね。

 

他にも、今回は道路の勾配は少しだけですが、これがもっと傾斜のある坂道だったとします。そこに例えば並列縦置きで2台の駐車場をつくるとすると、道路に擦り付けたところは駐車場にも強い傾きがある。

 

でも、一番奥でも同じように傾いてしまっては、車はずっと傾いて駐車することになりますから、一番奥では水平に近くならないといけません。そして全体的に、道路に向かって雨を流すよう水勾配をとります。

 

言葉で書くとややこしいですね、すいません。でも、結果この駐車場の路盤面は、図面で描くことがほぼ不可能なものになります。それは傾いたラインから水平なラインへと、徐々に捻れていくからです。

 

水平面はなく、かつ色んな場所で歪んだり捻れたりしていきながら、周辺のものと整合性をとりつつ形にしていくということが、外構工事の一番の特性ではないか。それは、直角に慣れた建築屋には逆に面白い。

 

そして、建築屋の方がその特性を掴んでいれば、あえてそうした難易度の高い部分をつくらなくて済むように施工範囲や方法を考えることができます。建築と外構の境目で、そうした工夫はとても大切ですね。

 

今回も、道路面以外は既存部分との間に10センチほど溝を設けて地衣植物を這わせる、という計画にしました。これはよく使われる手法ですが、見た目も、技術的にも、割れなどの危険回避の意味でも有効です。

 

水平と垂直をあつかう建築屋が普段とは違った頭を働かせ、図面に描けない技をイメージしてそこに歩み寄る。外構サイドからも逆の歩み寄りを得ることで相互に刺激があれば、それはとても面白い志事になる。

 

これから形になっていく駐車スペースを眺めつつ、その歩み寄ることの重要性をまた改めて感じた次第です。


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