出窓の部屋

〈木の保育園へのリフォームは、ただ四角い部屋をつくるだけではないのです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

「木の保育園」へのリフォーム工事、現場は着々と進んでおります。今日はまた朝から現場で大工さん、現場管理担当スタッフとの打合せ。リフォームはやはり既存という制約の中での調整が色々ありますから。

 

基本はリフォームであるこの計画に少しだけある増築部分も、いよいよ形になってきていますよ。それが今日の冒頭の写真の場所。ここは何というか、いわば出窓がさらに出っ張ったような感じの部分なんです。

 

でも、写真でおわかりの通り、かたちは四角ではありません。正六角形が、部屋から出っ張っている。床面の高さも部屋の床から90センチほどの高さで、ほんと出っ張り過ぎの出窓、という感じの場所(笑)。

 

出窓のレベルですから、大きさも小ぢんまりとしています。六角形の頂点を結ぶ線は、1.4mくらいしかない。私は中で手を広げることが出来ません。そして勾配天井の高さも、一番低いところは1mちょっと。

 

私が今までつくって来た中で、一番小さい「部屋」かもしれないなあ、と今日も現場で思ったりしていましたが、さて、この出っ張り過ぎの六角形の「出窓の部屋」、何のためにある場所なのでしょうか。

 

実は、というほどのこともないのですが、「何のために」は決まっていません。でも、子育て経験者ならよくご存知かと思いますが、子どもって、狭いところにわざわざ潜り込むのがとても好きですよね。

 

子どもでも2人入ればいっぱい、立つのも難しいこの場所。でも、ご覧のように外へ開かれていて、お庭の緑が美しいのです。一段高い床はもちろん無垢板で、窓以外の壁は全てローラー漆喰、天井も板張り。

 

そこにわざわざ入り込んで本を読んだり、ままごとをしたりする園児たち、それはとても微笑ましい光景ではありませんか。大人には窮屈なこの広さと素材の持ち味が相まって、子どもたちにこそ心地いい空間。

 

お客さまとのそうした「ワクワクする場所」についての話し合いの中から生まれたこの場所、正直言って私自身も図面段階では、どのようなモノになるのかちょっとドキドキでした。狭すぎないかと心配したり。

 

でも、そこは一旦自分の身体感覚を忘れたところから発想すべきと思って、自宅の真ん前にある保育所の子どもたちの姿を観察したりもしましたね。小さい子たちがワクワクするサイズ感ってどこだろうと。

 

しっかりと形になってきたこの「出窓の部屋」、まだ子どもたちに入ってもらったわけではありませんが、私がやっぱり結構狭いと思うということは、きっと良い感じなのでしょう。ワクワク感、ありそうです。

 

一段高い、低い、狭い、天井の低い場所。そうしたものが少しあると、大きな部屋の面白さとそうした小さい部屋の面白さを両方もった空間になります。単調にだだっ広いだけではない「違い」がある場所に。

 

子どもとは、そのような「違い」という差分を吸収して育つのではないかと思います。部屋の中にあるその差をしっかりと体感して成長してもらえる、そんな場所にこの保育園がなっていってほしいですね。

 

今日はそんなことを夢想しながらこの六角形を眺めていたのでしたが、しかし私自身がそこに入り込んでも、子どもたちのワクワク感が実感しにくいのはかなり残念。こういう時、大人とは楽しくないもんだ。


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