となりの幻

〈午後遅めからお休みをいただき、久しぶりに企画展を愉しみました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

月末〆切の助成金申請、無事に終えることが出来ました。図面や資料づくりでお手伝いをさせていただき、2つの「木の保育園」が申請できたことは本当に嬉しいし、今後の展開が楽しみであります。

 

午前中に申請関係を終え、午後一番の所用を済ませて、今日は残りの時間はお休みといたしました。一区切りをつけ、ちょっと心身をリフレッシュしたくて。そういう時私の足がむくのは、やはり美術館です。

 

ちょうど兵庫県立美術館で「ベルギー奇想の系譜展」が始まったのを知っていたので、足を運んでみました。久しぶりにマグリットを観たいし、奇想と言えばまず思い浮かぶヒエロニムス・ボスも観たいし。

 

ずっと図面や資料づくりを通じて直線をいっぱい描き、数字をいっぱい計算したので、こうした「奇想」と呼ばれるちょっと超越したような世界に浸ってみたくなった、というのもあるかもしれませんね。

 

てなわけで、久しぶりにアートに触れることになりましたが、私には色々と意外な驚きがあって、刺激的な時間に出来たと思います。これから行かれる方に向けて、ちょっとそのあたりを書いてみましょう。

 

まずはこの企画展のHPより。

「現在のベルギーとその周辺地域では、中世末期に発達した写実的描写のもと、独自の幻想的な絵画が生まれました。(中略)本展は15、6世紀を代表するボスやブリューゲルの流れをくむ作品から、象徴主義、シュルレアリスムの作家を経て、現代のヤン・ファーブルにいたるまで、約130点の作品を通して、500年にわたる「奇想」の系譜の存在を探ります。」

 

観はじめて最初の驚きは、ヒエロニムス・ボス自身の作品が一点もなかったこと。彼の工房の作、弟子の作が並び、私が観たかった『快楽の園』など本人の絵がないのにはびっくり。作品借りられなかったのかな。

 

なので15~17世紀の作品では、ブリューゲルとルーベンスがそのメイン、という感じでした。それも版画の原画が主で、カラーの肉筆がほとんどない。正直、ちょっと物足りない感じは否めないところ。

 

しかし、20世紀の章ではポール・デルヴォー、ルネ・マグリットの作品たちは充実していました。久しぶりに好きなマグリット『大家族』を観られたし、デルヴォーの作も印刷で見るのとは違う力に溢れていて。

 

他にも、19~20世紀の今まで知らなかった画家の素晴らしい作品とも出会えました。まずはフェリシアン・ロップス『舞踏会の死神』。冒頭の写真にも写っている、この作品です。ボスとは違う奇想の発露。

 

そして「夜の画家」レオン・スピリアールト。今回は自画像とこの『堤防と砂浜』の2点のみでしたが、妙に惹かれる絵でした。これもまた、全く趣を異にしながら同じく幻想的であることに共感します。

 

ボスをその始祖として、「奇想」という名で括ってよいのかはわかりませんが、そうしたフィクション構築の独自の世界がベルギーにはずっと、脈々と流れている。それが本展を通じて語られたことでしょう。

 

虚構とは現実を映す鏡のようなもの、とも言えるし、そして現実のすぐ横にぽっかりと口を開けているものでもある。そして、何故か懐かしいような感覚を呼ぶそれらを「幻想」と呼ぶのではないか、と。

 

私がボスよりマグリットや上のような作品たちに惹かれるのは、現実離れしているようで現実の隣にあるような、その独特の味わいが好きなのかもしれない、今日はそんなことを感じられたひとときでした。

 

※なお、ピーテル・ブリューゲルの最高傑作『バベルの塔』は今、東京に来ているようです。調べてみて「これも行かねば」と考えている次第です。


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