方途のわかれみち

〈リフォームしていい家になるかどうかは、部屋の中の状況が問題なのではありません。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は、先日見てきた古い木造住宅の写真から始まりました。書きたいことは、家づくりの大きな分岐点のこと。すなわち「リフォームにする?建て替える方がいい?」の判断について、ということです。

 

現在居住中のご自宅がある方の場合も、あるいは「中古住宅付土地」を購入される場合でも、その建物をリフォームして良い家になり得るのか、建替えるしか手がないのかは、皆さんお考えになると思います。

 

無論その家がどういう構造なのか、あるいは築何年なのか、何らかの要因で傷みが発生しているのかどうか、などなど、判断の基準は色々あります。今日はKJWORKSがつくる「木造」に絞って進めましょう。

 

木造住宅ならば、元の構造体がどういう組まれ方をしているかがわかれば、そこにどういう手段で補強をするか、あるいはもっと開放的にするか、ということを判断できます。即ち構造に手を入れやすい。

 

ということは、間取りまで変えていくような大規模なリフォームをしやすいということになる。確かに鉄骨造やRC造の建物よりは、構造がリフォームの制約になりにくいというのは確かに言えるでしょう。

 

しかしそれは、柱や梁といった「上部構造」の話。床を支え、屋根を支えるために組み上げられた骨組みについて、ですね。実はリフォームの可否を決めるのはそこではなく、「下部構造」だと私は考えます。

 

ここでいう下部構造とは、柱を支える土台、そしてその下にある基礎ですね。建物が地面の上に建っている以上、この基礎と土台がどういう状態にあるかが、リフォームと建替え、2つの方法の分岐点だと。

 

実は、木造住宅の基礎にコンクリートを使うことが義務付けられたのはまだわりと新しいこと。昭和46年(1971年)です。しかもこの時点ではまだ、鉄筋の入らない「無筋コンクリート造」でもよかったんです。

 

それ以前にも鉄筋コンクリートの基礎はありました。しかし木造住宅に使われるのは少数派だったはず。そして建物全体につくる「べた基礎」ではなく、主要なラインにだけ基礎がある「布基礎」しかなかった。

 

古くて強度不足の基礎は、地盤の状態や上部荷重の影響によって「不同沈下」して、基礎が「捻れる」という可能性があるんですね。そしてそれは当然、上部構造にも影響を及ぼします。即ち、家が捻れる。

 

基礎にこういう変形がない場合なら、今の技術で基礎を補強することが可能です。しかし、捻れてしまった基礎を元の状態に戻すことは、上に建物がある状況下ではほぼ不可能と言っていいでしょう。

 

また、もうひとつの要因である土台が傷んで建物に影響している時というのは、そのほとんどがシロアリの仕業です。地面に最も近い木造部分なのが土台ですから、ここから食害を受けることになるんです。

 

これも部分的なものであれば取替も不可能ではありません。でも大幅に入れ替えるということになれば、これまた上部構造が載っているのですから、かなり非現実的なことと言わなければなりませんね。

 

実は今日の冒頭の写真のお宅も、そういう状況でした。昭和39年の築で、私より3つ年上の木造住宅。縁側のあたりのつくりはよいのですが、入って中を歩いていると、どうも全体が傾いている。捻れている。

 

床下まで潜ってみたわけではありませんが、おそらく築年数からして、無筋コンクリートでしょう。基礎が変形している、あるいは土台がどこかシロアリで失われている、そういう感じを受けました。

 

こういう場合は、いくら上部構造がしっかりしていても、残念ながら大規模リフォームで対処することは難しいのでは、という判断にならざるを得ません。解体・建替え、という方向へ舵を切ることになる。

 

今までこうした「リフォームの可否のための下見」を数多くやってきて思うのは、地面の近くが最も大事、ということです。その状況が家づくりの方法の分かれ道であり、元の建物の寿命の分かれ道である、と。

 

なので、中古住宅の取得をお考えの方に一言。部屋の中よりも床下、どんな基礎か、土台の傷みはどうかを見るべきですよ。自分で無理ならプロに頼んでもよいほどに、それは大きな分かれ道なのですから。


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