壁のあるなし

〈スペースの広さを分断する無用な壁は、暮らしを縛る壁でもあるのです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日から、先日サンゲツさんへ壁紙を選びに行った、賃貸マンションの内装リフォームが始まりました。約12畳のスペースを無垢の木の床に替えて空間の質を高めたい、というオーナーのご意向による工事です。

 

このお部屋、12畳のスペース以外には玄関と水廻りがあるのみ。ワンルームマンションほど狭くはありませんが、といって4人家族が住むには部屋数が足りません。やはり住めるのは1人か2人まででしょう。

 

冒頭の写真が、その着工前の状況です。手前の6畳がクッションフロアを敷いた洋間、奥の6畳が畳敷きの和室。間には壁があり、引違いの建具が付いていますね。窓は南と東にあり、とても明るいです。

和室側からはこんな感じ。

 

マンションの間取りって、一昔前までは必ず和室がありました。もっと個室が多いマンションでも同じです。LDK的な洋室の横に和室があって、建具で仕切るようになっていて、和室には押し入れがある。

 

ただ、LDK部分が広ければ和室の意味もあると思うのですが、今回のマンションのように洋間も和室も6畳というのは、ちょっと面積的にバランスがよくないように思いました。狭苦しく感じてしまいますし。

 

なのでこの工事では、真中の壁はなくしてしまいます。12畳全体を無垢の木の板張りの床に替え、和室はなくなって広いワンルームになります。その方が、この面積では暮らし方の幅が広がると思いますので。

 

ただ、広くなるのは悪いことではないと思いますが、仕切りの壁がないよりもある方がやりやすい、そういう部分があるのも事実です。壁がある方がしやすいこと、それは「家具を置く」ということです。

 

置き家具というのは、テーブルやソファを別にすれば、たいていが壁を背にすることを前提につくられていますね。その壁がなくなるのは、広くなった反面、家具を添わせる相手がいなくなることでもある。

 

この12畳のスペースは窓も大きくてたくさんあるし、押入れや入口のドアなどもあるので、元々壁が少ない。それをさらに減らすのですから、きっと家具を置くのに少し知恵が必要かもしれませんね。

 

そういうことをふまえた上で、でも今回はあえて広いスペースづくりの方を選択しています。「間仕切り壁」に暮らしのあり方が制限されるより、住まい手が選ぶ暮らし方の選択肢が多くある方がいいですから。

 

広いスペースと無垢の木の床に魅力を感じてこの部屋を「借りたい」と感じてくださる方は、きっとそういう「暮らし方の工夫」を面白がってくれる人ではないか。私は勝手にそういうことを想像しています。

 

物理的なモノのことだけではなく、何かやりたいことを邪魔するものがある時も、人はそれを「壁」と表現しますよね。「障壁」という言葉もあります。空間の中に、そういう障壁という壁はほしくありません。

 

無用な壁を取り払うことで、暮らしを縛る障壁が減る。今回のリフォーム工事がそういう効果をもたらしてくれることを、私としては大いに期待している次第です。


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