芯に至る時間

〈亀の歩みで続いている商品開発、でも時間をかけるのもよいものです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は、木のハコの写真が登場しました。もうだいぶ長い時間、皆さんに使っていただくべく商品開発を進めているモノ、いよいよ最終の試作品へと辿り着きました。さっき私の事務所へ到着したばかりです。

 

ライフオーガナイザー中村佳子さん、ライター熊田美佐さんにお声がけをして、色々とご意見いただきながら進めてきているこのハコは、「配線隠しプラスアルファ」の機能をもった木の箱というコンセプトです。

 

「配線隠し」という機能の商品で、かつインテリアに溶け込むような良い雰囲気のもの、使いたいと思うモノが無い。そういう想いから生まれた、あくまでも実用品でありながらセンスよく、という狙いのモノ。

 

PCのACアダプタ、スマホの充電関係配線、金魚の水槽のポンプ廻りなど、気になる人には気になる家の中の配線たち。それを木の箱に隠しつつ、上部をティッシュやゴミ箱、書類立てなどに使うアイデアです。

 

これをそんなに大量生産する気もないので、やはり開発に一番ネックとなるのはコストですね。小ロットだとそう安くなりにくい。そんなことを実際の製作者の方とも話しながら、一歩一歩進めてきました。

 

前回ここに書いたのが昨年7月ですから、本当にゆっくりじっくりという感じです。私もこれが本業ではないし、製作を担当してくださる若葉家具さんも本業の合間をみて試作してくださっているものですから。

 

コストは抑えながら、でもやはり私としては自分で美しいと思えるデザインに仕上げたいので、つくる側の論理を聞きながら「ではこういう風には出来ますか?」という繰り返し。そこに時間がかかりましたね。

 

素人の方から見れば、それはほんの小さな部分の寸法やかたちへのこだわりだと思います。しかし、やっぱりそこが大事なんです。無理を押し付けず、自然なつくり方の範囲で美しいかたちを追求することが。

 

そんなやりとりの中で、箱を2段に積むのはやめてシンプルな箱に着地しました。でも私が「ここだけは」と思う部分、例えばフタをした時その周囲に凹型の底目地が出来る、などは最後まで残っていますね。

 

こうして、ずっと考え続けるのではなく、少し時間をあけてからまた見直す、ということを繰り返していると、その中で本質が見えてくるというか、必要以上の変なこだわりが薄れてくる、そんな感覚があります。

 

この商品開発の最初は、とても気負っていたように自分でも思いますが、徐々にそれが自然体になってきたようにも感じられます。興味が薄れるのではなくて、本当にやるべき「芯が視えてくる」というか。

 

そうした自分の心境とリンクするように、つくられるモノも徐々に「澄んでくる」のかもしれないなあ。建築も、これくらい時間をかけてゆっくりじっくりとまとめたら、また違う空間が生まれるのかなあ。

 

諸々の検討を経て、すっきりとした姿に仕上がってきたこの木の箱を見ながら、いまそういうことを感じている私です。


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