質感の威力

〈賃貸マンションで無垢板の床。この英断がどう活かされるか、つくり手として楽しみです。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

この12日に「壁のあるなし」と題してこのブログに書いた、芦屋市内の賃貸マンションのリフォーム工事。その後一週間をかけて合計三職種が入り、本日無事に工事を完了することができました。

 

先日の文章に述べたとおり、今回のリフォームのキモは、6畳二間の間の壁を取っ払って12畳のワンルームにすること。そしてその床は全て、KJWORKSが得意とする無垢の木の板張り床にすることです。

 

冒頭の写真で、その生まれ変わった空間の様子がご覧いただけますでしょうか。部屋は広々として、そしてどうでしょう、この床の気持ちよさそうなこと!いや、賃貸マンションの部屋とは思えませんね。

 

今回は賃貸ということもあり、杉や松などの針葉樹よりは硬めの広葉樹がよいでしょうということで、ナラ材の床をご提案しました。「乱尺」という、何種類かの長さの床をランダムに組合せて張る方式。

 

そしてその床材に合わせて、和室の押し入れだったところもクロゼットに変更し、建具も同じナラの突板張りで製作しました。このコンビネーションが空間に「一体感」というまとまりを与えてくれます。

 

ナラ建具の左側は、元あった壁を取り去った名残り。上部に配線と空配管があったため、あえてここだけはクロス張りの壁にせず、床柱ではないですが、空間のアクセントとして杉の無垢板で仕上げています。

 

写真ではわからないですが、サンゲツショールームでその進化に驚きつつ選んだクロスの壁も、ナラの床とよく合っています。KJWORKSとして初めて使った「ソフト巾木」もあえて高さを抑えてすっきりと。

 

それにしても、やはり無垢板の床の威力はすごいです。元の洋間はクッションフロアでしたから、その質感、その肌触り、その香り、全てにおいて大きくグレードアップし、人間の五感に語りかけ始めた感じ。

 

床と建具がナラという味わいでその質感を大きく変えたことで、この空間全体の「安らぎ感」がぐっと強まり、しっとりと落ち着いた部屋になってくれているのが、こちらの肌に伝わってくるんです。

 

前回にも書きましたが、こうした賃貸マンションは一般的に「安かろう悪かろう」であることが多いようです。しかしオーナーはそこに一石を投じ、空間の質の向上という付加価値による差別化を英断された。

 

そこに共感し、今回のシチュエーションにおける最適解を求めた結果として、この空間が生まれました。12畳の部屋ひとつといってもその意義はとても大きいですし、結果的に経済面にもメリットはあるはず。

 

いま、モノの質感や空間の質というものに敏感な方、それも若い世代の方ががどんどん増えている時代だと、私には感じられます。そうした方々には、こういう空間は大いに魅力的でしょうね、きっと。

 

ただ、つくり手としては、せっかく費用をかけてリフォームしたのだから、出来れば人気のある部屋になってほしいと思いますが、実際にこういう空間がどう受け入れられるのかは、正直私にもよくわかりません。

 

賃貸マンションの、無垢板の床の部屋。その質感の威力がどういう加減に作用してくれるのか。この空間に身をおいて、まだ見ぬ住まい手さんについつい思いを致してしまう私でした。

 

※この部屋、6/30から募集の記事が出るようです。場所は芦屋市宮塚町、宮塚公園のすぐ近くです。もしご興味おありの方おられましたら、私にお声がけくださいませ。


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