歴史も込みで

〈懐かしく重厚なインテリアの設えを活かすリフォーム、検討中です。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

いま、また新しいリフォーム計画のお話をいただいています。「古民家」というレベルに近いような古い木造住宅を、グループホームに用途変更するというもので、その改修計画を練っているところ。

 

グループホームは「個室の多い家」という感じのものですので、普通の住宅を改修してつくるという方法も採りやすいと言えるでしょう。なのでポイントは、住宅の中に如何に個室を増やせるか、となります。

 

個室を増やすということは、家の中に間仕切りを増やす、ということになりがちです。元々そんなにたくさんの個室をもっている家は少ないし、広いリビング・ダイニングなども時に間仕切りの対象となることも。

 

冒頭の写真は、この建物のリビング廻りです。石材を贅沢にふんだんに使ったマントルピースが眼を引きますね。下部の建具や引出廻りも、なかなかよく出来ているのです。天井廻りの細工も凝っている。

 

写真ではわかりにくいかもしれませんが、本物の素材によってつくられた造形は、今時のチープな素材によるまがい物とは全く違う質感を放っています。いかにリフォームとは言え、これは壊せない。

 

しかしここも、リフォーム後はLDKとしてここまでの面積は必要なさそう、ということで、居室に区切るという計画をしています。なので、この重厚なマントルピースは活かす前提での居室づくりに。

 

他にも凝った設えの和室の床の間・書院廻りをもつ部屋もあり、レトロなガラスを使った建具が使われた部屋もあり。そういうモノたちをあまり改変しないようにしながら居室を増やすことを考えているんです。

 

それは、実際の使い勝手や効率という物差しで見れば不合理なものかもしれません。しかし、お客さまと私との間では、その価値を亡くすことの方が大きな問題であるという共通の認識がありますから。

 

この、今はもうつくれないであろう凝った設えが刻んできた歴史に価値を見出し、それを部屋の価値として活かすこと。今回の計画は、その歴史をふまえた、それ込みという方向性になっているんですね。

 

とは言えそれは、言うは易し、行うは難しという感じの難問でもあります。まだ計画は始まったばかり、今後時間をかけて、歴史を採り込んだインテリアとその改修内容を詰めていくことになるでしょう。

 

私も、そこで安易な方向に流れてしまわないよう、注意してその新旧の馴染みを考えていかないと。それは、難しいながらもやり甲斐のある、建築好きにはある意味たまらない魅力のある作業なのであります。

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