地車のちから

〈思いがけず、地域の歴史の一面を垣間見られる時間をいただきました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日は朝から、年に一度の健康診断だったんです。芦屋で志事をするようになって3回目、バリウムがあるので嬉しい日ではありませんが、今年もまたJR住吉駅から歩いて、住吉川病院まで行ってきました。

 

なんとか健診を終えて病院を出たら、ちょうど住吉川を挟んで向かい側の建物が目に入ってきます。前からあるけど入ったことはなく、ちょっと興味が湧いてきましたよ。少し時間もあるし、立ち寄ることに。

 

くるっと回り込んでみると、川向かいの正面からは見えなかったサインが目に入ってきて、そこには神戸市立東灘図書館、と。ははあ図書館か、と思ったら、その下にもうひとつ「住吉だんじり資料館」とある。

 

お、だんじりの資料館、ということで俄然気になってきました。早速入ってすぐ私を出迎えてくれたのが、冒頭の写真の光景です。住吉のだんじりの実物展示ですね。右には色んなお祭りの法被もずらりと。

 

このすぐ近くの「本住吉神社」に地車祭りがある、ということくらいしか知らない私。見に行ったことも全くなくて、ははあ、神戸のだんじりはこういうのなんだ、としばし楽しい学びの時間となりました。

 

このだんじりの現物展示の周囲には色んな説明書きのパネルがあり、実際のお祭りの映像も見られるようになっていました。それらもじっくり拝見して、ちょっとは住吉だんじり祭りがわかってきましたよ。

 

今は神戸市東灘区になりますが、本住吉神社の門前町である住吉地域は、昔は菟原(うはら)郡住吉郷と呼ばれていたそうです。そしてその頃の名残か、今も伝統的な地区の名前で祭りはおこなわれるのだとか。

 

そしてその地区の名は「区」ではなく「區」という旧字体を使って呼ばれるんですね。展示パネルの説明書きは「区」でしたが、だんじりや法被などの祭りのものは旧字体になっていました。伝統を感じますね。

 

これは私の勝手な想像ですが、ただ古くからあるというだけでなく、「区」は「凶」をイメージさせるから旧字体のままなのかもしれません。やはりお祭りごとには、何より縁起を重んじるはずですし。

 

ちなみに展示のだんじりは「西區」先代のものだとか。面白いのは、関西のだんじりの「型」をエリア分けで示す資料があったこと。住吉のは「神戸型」で、その詳しい説明がまた建築屋にはたまらんのです。

 

それを読むと、神戸型の特徴のひとつは「移動舞台」である、ということだそうです。昔はここで「俄(にわか)」と呼ばれる即興の話術や劇が披露されていたとか。祇園祭の山鉾に近い感じでしょうか。

 

岸和田のだんじりなどはすごいスピードで移動するものですから、そういうことは出来ません。映像を見てもこちらのだんじりはゆっくり動いていく感じで、なるほど地域によってだいぶ違っているんですね。

 

展示を見ていてふと思い出したのですが、私がこの芦屋に事務所を開いて志事を始めた頃、地元の方に教えてもらったことがあります。それは「東灘のひとは、すごく地域愛が強い人が多いんだよ」ということ。

 

今日思いがけずこれらの展示を見て、本住吉神社の古からの由緒も、そして江戸から続く伝統の祭りを今に伝える地域であることも知りました。住吉と言えば高級住宅地という見方の、その更に奥に触れた感じ。

 

本住吉神社の存在も、住吉郷の伝統の祭りも、きっと地域の皆さんの心をつないでいる大きな見えない力なんだろうな。強い地域愛というものの理由を少し垣間見たような、今日はそんな気持ちになれました。

 

今日は雨でしたが、また天気の良い日に本住吉神社にも詣でてみたいし、今度の5月には神戸型だんじりの雄姿も是非観に行きたいものです。

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