水も滴る

〈やはり、雨が似合う花と言えば、これではないでしょうか。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

今日も暑かったですね。雨が続くと晴れてくれないかと思い、晴れて暑いと雨が降って涼しくならないかと思う。梅雨とはそんな気持ちがいったりきたりする、独特の季節だと言っていいでしょう。

 

最近あまりここに花のことを書いていないな、今日はふとそう感じたので、梅雨といえばこれ、という花の写真を探してきましたよ。これは、2年か3年前くらいに行った三千院「あじさい祭り」のもの。

 

私はやはりこのガクアジサイの楚々とした風情が好きですが、セイヨウアジサイの方が華やかだからか、一般的に紫陽花というと、鞠のように咲き誇ったそちらを思い浮かべる方のほうが多いようです。

 

そして最近特に思うのは、紫陽花もすごく色んな品種が増えてきているなあ、ということ。花の数や大きさ、形のバリエーションがすごい。八重の花弁のようなものも増え、色も多彩になってきた気がします。

 

カシワバアジサイという品種を知ったのも最近でした。白い清楚な花ですが、葉っぱが名の通り一般的な紫陽花のものとは全く違って、柏の葉のよう。単に私が無知なだけですが、最初見た時は驚きましたね。

 

でも、私が今日の写真で言いたいのはそういうことではありません。「濡れ姿」がこれほど様になる植物として、紫陽花の右に出るものはそうそう無いのではないか?という感覚をお伝えしたかったんです。

 

どの植物も、葉の上に水玉が載って揺れていたりする光景はとても美しいものです。でも、写真のように濡れ鼠になっていてもそれが妙にしっくりくるという花は、やはり紫陽花が一番ではないかと。

 

おそらく、梅雨の最中に咲いている姿が、それだけ我々日本人の心の中に染み付いてしまっているということなのでしょう。こういうものを「風物詩」と呼ぶのだろうなあ、としみじみ思ったりします。

 

ちなみに昨今、紫陽花の品種以上に、梅雨に咲く別の花が巷にどんどん増えているのに皆さんはお気づきでしょうか。それは「アガパンサス」です。にょきっと首を延ばして咲くこの花は、アフリカ原産らしい。

 

それが何故梅雨時期に咲くのかは私にはわかりませんが、私の感覚では、この花は濡れている姿が全く様にならないように思います。雨で花が重くなって首が垂れてくるし、葉も雨を受ける形をしていないし。

 

アガパンサスが嫌いというわけではなくて、あの花の色はとても好きです。しかし、梅雨という季節に合っているかと言われれば、それはやはり圧倒的に紫陽花に軍配が上がるように感じられますね。

 

季節の特性と植物の姿、そしてそこに風情を見出す人間の感性。それがずっと繰り返される中で、風物詩という名を冠して呼ばれるほどに、この国の人々の暮らしの中に、記憶の中に定着していく。

 

紫陽花の葉に蝸牛がいたりすると、さらに風情を感じませんか。DNAあるいはミームで受け継がれていくその感性を、自分の世代で失いたくはない。水も滴る花の美を、ちゃんと語り継がないといけませんね。

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