校舎の卒業式

校舎の卒業式02

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

3月も後半、卒業式の時季ですね。今日は、生徒たちと一緒に卒業する「学び舎」のお話です。

 

写真の校舎、松原をバックにして、何とも立派な、風格すら漂う建物ではありませんか。それもそのはず、この建物は国内最古とされる、歴史ある校舎なのです。

 

ここは岡山県高梁市。築110年を数える。市立吹屋小学校の木造校舎です。惚れ惚れするような姿ですね。

 

吹屋というところは、江戸の頃から戦前までは「日本三大銅山」の町として、さらに江戸末期からは「ベンガラ(弁柄)」の日本唯一の産地として繁栄した街だそうです。

 

この小学校は、この街が最も栄えた頃に建てられたのですね。上記産業によって潤ったこの街の財産を結集してつくられたといいます。銅山本部の敷地跡に平屋建の東西2棟の校舎が建ったのが1900年(明治33年)。そしてこの写真の中央本館が、1909年(明治42年)に完成したとのこと。

 

100年を経てなお校舎としての使用に耐えるその強固な構造や、折上式の天井などの贅を凝らした意匠、まさに吹屋の繁栄した時代の象徴といえる建物なのですね。

 

しかし、これまでに3千人もの卒業生を輩出してきたこの校舎も、近年の児童数減少により、ここ数年は全校児童が10人以下という年が続いたとか。そのため、遂に今月末、3人の卒業生を最後に、閉校が決まってしまったんです。

 

3月20日の卒業式には、合わせて閉校式もおこなわれ、皆がこの歴史ある建物に「さよなら」を言ったそうです。とても悲しいこと。そう思ってこの写真を見ると、心なしか建物も寂しげに見えてきます。

 

しかし、閉校は残念なことではありますが、建物としての寿命を終えるわけではありません。日本最古の現存校舎、その文化財としての価値は計り知れず、もちろん保存が決まっています。そして、閉校から6年後、この校舎は資料館として新しく生まれ変わるとのことでした。ホッと一息です。

 

100年を超えて子供たちの姿を見続け、その暮らしの器であった学び舎は、もはやただの箱ではない筈。皆が卒業生であろう吹屋の皆さんにとって、それは思い出の息づく場所、自分のアイデンティティの大きな拠り所とすら言えるのではないでしょうか。

 

そんな校舎に今まで蓄積された子供たちのエネルギー、そして人を引き寄せる思い出の力は、きっと更に長い年月、この建物を活かしてくれるに違いありませんね。

 

建物が生き続けるとはそういうことだと、私はこの話を知って思ったのでした。


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