人と世界遺産

machupityu

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

今日は、現代というもの、人のことについて、考えさせられる話を。

 

ご覧の写真は、ご存知「空中都市・マチュピチュ」です。ユネスコ世界遺産(World Heritage Site)に登録されているこのマチュピチュは、インカ帝国の大いなる栄光を今に残す、素晴らしい遺跡ですね。

 

16世紀にスペインによってインカ帝国が滅ぼされた後も、その急峻な山々に囲まれたこの都市は、スペイン人に見つかることなく、今に残されたのです。しかし何年か前から、このマチュピチュの危機が叫ばれるようになったのを、皆さんはご存知でしょうか。

 

何となくご想像がつくかと思いますが、それは観光客の圧倒的な増加が原因です。

 

この山間の細い尾根の上に築かれた街の遺跡には、今や一日あたり3000人もの人が訪れるということで、そんなにも多くの人が歩く影響で、石畳や建物の基礎の傷みが大きく進んでいるといいます。

 

一日に3000人が歩くというのは、一説によると震度7の地震に匹敵するダメージがあるとも言うそうですよ。元々建てることすら難しいような場所にある街なのですから、その影響は計り知れませんね。

 

また、遺跡の麓にある町、アグアスカリエンテス(Aguas Calientes)も、観光客の増大により許容量オーバーになりつつあるそうで、ホテルなどの建設による地盤の問題や、ゴミの問題などが噴出しているのだとか。

 

マチュピチュは、日本人の「行ってみたい世界遺産」のナンバーワンなのだそうです。その昔、スペイン人にも見つからなかったが故にその美しい姿を残すことができた街が、今やそれを世界中から「見に来る」人々の手によって滅ぼされかけている。

 

何とも皮肉な話で、世界遺産というもののあり方について、それでいいのかという思いが頭をよぎります。

 

もちろん、観光収入というものが一方ではあるわけで、それによって地域が潤う、というのは悪いことではないと思います。スペインのサグラダ・ファミリア教会のように、観光収入によって一気に建設スピードがアップしたり、あるいはその遺産の維持に効果的な対処ができたりという良い面もあるのですから。

 

しかし、マチュピチュのような希少な「厳しい自然となんとかバランスをとっている世界遺産」には、やはり多くの観光客の来訪は悪影響のほうが大きいと言えるでしょう、残念ながら。

 

インカ帝国には「文字」というものがなかったといいます。それを必要とせず、このような素晴らしい街を建設したインカの人々に、我々現代人は、実は試されているのかもしれませんね。

 

自然と遺跡と人間、そのバランスをとりながら、どうやって世界遺産を存続させ、未来へと残していくか、その知恵を。


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